第2章 高齢社会対策の実施の状況 

2 主な法律の制定・改正

 平成14年度に推進された高齢社会対策について、主な法律の制定・改正の動きを挙げれば、次のとおりである。

1) 雇用保険法等の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 厳しい雇用失業情勢が長期化する中で、経済社会の構造的変化に的確に対応し、雇用保険制度の安定的運営を確保するため、給付について1)早期再就職の促進、2)多様な働き方への対応、3)再就職の困難な状況に対応した重点化を図ると共に、保険料率について労使負担の急増の緩和に配慮した上で、制度の安定的運営のために必要最小限の引上げを行うこと等を内容とする雇用保険法等の改正を行う法律案を第156回国会に提出した。

2) 平成15年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律の成立(参照)
 平成14年の消費者物価指数が対前年比マイナス0.9%となったことに加え、15年度においては、年金額等を据え置いた過去3年とは異なり現役世代の賃金の低下傾向が明らかとなっている中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、15年度の年金の額等については物価スライドを実施することとし、法令どおりの取扱いであれば15年度の年金額等は、過去3年分と合わせてマイナス2.6%の改定となるが、高齢者の生活に配慮しつつ、14年分の物価指数の下落分のみの改定を行うこととした。この特例措置の実施のため、平成15年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律(平成15年法律第19号)が成立した。

3) 健康増進法の成立(参照)
 国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めると共に、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るために必要な措置を講じることを内容とする健康増進法(平成14年法律第103号)が成立した。

4) 健康保険法等の一部を改正する法律の成立(参照)
 医療保険制度及び老人保健制度の安定的運営を図るため、健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)が成立した。
 この改正では、高齢者医療制度の改革として、
・ 現役世代の負担との均衡を図る観点から、70歳以上の高齢者の患者負担について定率1割負担(一定以上の所得の者に関しては定率2割負担)を徹底すると共に、低所得者には特に配慮を行いつつ自己負担限度額等を見直すこと、
・ 後期高齢者に施策を重点化する観点から、老人医療の対象年齢を70歳以上から75歳以上に引き上げると共に、老人医療費に係る公費負担の割合を3割から5割に5年間で段階的に引き上げること、
・ 老人医療費の伸びを適正化するための指針を策定すること
等を内容としている。
 また、附則において、保険者の再編・統合を含む医療保険制度の体系の在り方、新しい高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しに関する基本方針を平成14年度中に策定し、その方針に基づき所要の措置を講ずることを始め、医療保険制度の改革に関する各般の課題について改革を進めることが規定されている。

5) 次世代育成支援対策推進法案の国会提出(参照)
 近年、我が国において急速に少子化が進展していることにかんがみ、次代の社会を担う児童が健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図るため、国による行動計画策定指針並びに地方公共団体及び事業主による行動計画の策定等の次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進するために必要な措置を講ずることを内容とする次世代育成支援対策推進法案を第156回国会に提出した。

6) 児童福祉法の一部を改正する法律案の国会提出(参照)
 我が国において急速に少子化が今後一層進展することが予測されることにかんがみ、地域における子育て支援の強化を図るため、市町村が実施する子育て支援事業の法定化等所要の措置を講ずることを内容とする児童福祉法の一部を改正する法律案を第156回国会に提出した。

7) 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部改正(参照)
 建築物のバリアフリー化を一層強力に推進していくため、特定建築物のうち一定の用途及び規模のもののバリアフリー対応の義務付けの創設及び努力義務の対象の拡大、容積率特例制度を始めとする認定建築物に対する支援措置の拡大等を内容とする高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号)の一部改正が行われた。

 

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