第1章 高齢化の状況(第1節 コラム1)
第1節 高齢化の状況
コラム1 「高齢社会」「高齢化社会」とは?
一般に、高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」と呼んでいる。
「高齢化社会」という用語は、1956(昭和31)年の国連の報告書において、当時の欧米先進国の水準を基にしつつ、仮に、7%以上を「高齢化した(aged)」人口と呼んでいたことに由来するのではないかとされているが、必ずしも定かではない。
また、「高齢社会」については、高齢化率が7%からその2倍の14%に到達するまでの期間(倍化年数)が、高齢化の進展のスピードを示す指標として国際比較などでよく使われている(「第1章 第1節 5(2)高齢化の国際比較」参照)ことから、高齢化率14%を一つの基準として、これを超えたものを「高齢社会」と呼んでいるものと考えられる。
平成7年に制定された高齢社会対策基本法は、「我が国の人口構造の高齢化は極めて急速に進んでおり、遠からず世界に例を見ない水準の高齢社会が到来するものと見込まれている」と前文で述べており、法律として初めて「高齢社会」の用語を使用したものである。
なお、今後到来が予想される高齢化率の一段と高い社会を「超高齢社会」と呼ぶことがあるが、これについても特に明確な定義があるわけではない。
「高齢社会対策」とは?
「高齢社会対策」については、高齢社会対策基本法第1条において「高齢化の進展に適切に対処するための施策」と定義されているが、これは、高齢者を対象とするようないわゆる「高齢者対策」よりも広い概念である。
同法は、「国民一人一人が生涯にわたって真に幸福を享受できる高齢社会を築き上げていくためには、雇用、年金、医療、福祉、教育、社会参加、生活環境等に係る社会のシステムが高齢社会にふさわしいものとなるよう、不断に見直し、適切なものとしていく」ことが必要であることを前文でうたうとともに、第2条において、高齢社会対策について、次のような社会が構築されることを基本理念として行われなければならないと定めている。
- 国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会
- 国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会
- 国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会