第1章 高齢化の状況(第2節 4 (2))
第2節 高齢者の状況
4 高齢者と社会・地域
(2)高齢者の住生活
ア 住宅の所有関係
高齢者の住宅の所有関係についてみると、65歳以上の高齢者のいる主世帯(「主世帯」の定義については、図1-2-54の注2を参照。)では、持ち家が84.0%、公営・公団・公社の借家が6.2%、民営借家が9.5%となっており、主世帯総数に比べ、持ち家率が高く、借家率が低い。このうち、高齢夫婦主世帯(夫婦とも又はいずれか一方が65歳以上の夫婦一組のみの主世帯)では、持ち家が84.9%、公営・公団・公社の借家が7.0%、民営借家が7.9%となっているが、高齢単身主世帯(65歳以上の単身者のみの主世帯)では、持ち家が65.0%、公営・公団・公社の借家が12.7%、民営借家が21.8%となっており、高齢単身主世帯では比較的持ち家率が低く、借家率が高くなっている(図1-2-54)。
図1-2-54 高齢者の住宅の所有関係
イ 高齢者の住宅の居住水準
高齢者の住宅について、誘導居住水準(表1-2-56)を満たしているかをみると、高齢単身主世帯では76.0%、高齢夫婦主世帯では79.9%が水準を満たしている。このうち、持ち家に住む世帯では、高齢単身主世帯で90.3%、高齢夫婦主世帯で86.8%の世帯が水準を満たしているのに対し、借家に住む世帯では、高齢単身主世帯で49.6%、高齢夫婦主世帯で41.2%の世帯が水準を満たすにとどまっている(表1-2-55)。
(単位:%) | ||||||||
住宅の所有の関係 | 高齢単身主世帯 | 高齢夫婦主世帯 | 主世帯総数 | |||||
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水準以上の世帯 | 水準未満の世帯 | 水準以上の世帯 | 水準未満の世帯 | 水準以上の世帯 | 水準未満の世帯 | |||
総数 | 76.0 | 23.8 | 79.9 | 20.1 | 52.3 | 43.2 | ||
持ち家 | 90.3 | 9.7 | 86.8 | 13.2 | 65.0 | 33.6 | ||
借家 | 49.6 | 50.4 | 41.2 | 58.8 | 34.2 | 61.8 | ||
公営の借家 | 64.4 | 35.6 | 45.6 | 54.4 | 34.8 | 62.5 | ||
公団・公社の借家 | 68.0 | 32.1 | 38.0 | 62.0 | 36.9 | 59.2 | ||
民営借家(木造) | 34.6 | 65.4 | 31.2 | 68.8 | 27.7 | 69.2 | ||
民営借家(非木造) | 51.7 | 48.3 | 54.3 | 45.7 | 36.7 | 58.3 | ||
給与住宅 | 63.3 | 36.7 | 61.0 | 39.0 | 39.8 | 56.1 | ||
資料:総務省「住宅・土地統計調査」(平成15年) | ||||||||
(注1)総数には、誘導居住水準による必要畳数「不詳」を含む。 |
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(注2)1住宅に1世帯が住んでいる場合は、その世帯を「主世帯」とし、1住宅に2世帯以上住んでいる場合には、そのうちの主な世帯(家の持ち主や借り主の世帯など)を「主世帯」とした。 |
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(注3)「高齢者単身世帯」とは、同調査における「65歳以上の単身主世帯」を、「高齢夫婦主世帯」とは、「65歳以上の夫婦主世帯」を、それぞれ指す。 |
都市居住型 | ||
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1.寝室 | (1) | 夫婦の独立の寝室(8畳)を確保する。ただし、満3歳以下の子供(乳幼児)1人までは同室とする。 |
(2) | 満4歳以上11歳以下の子供(幼稚園児から小学生まで)については、夫婦と別の寝室を確保する。ただし、1室2人まで共同使用とする(共同の場合8畳、個室の場合4.5畳)。 | |
(3) | 満12歳以上の子供(中学生以上)については、個室(4.5畳)を確保する。 | |
2.食事室及び台所 | (1) | 食事室及び台所を確保する。ただし、単身世帯については、食事室兼台所(6畳)を確保する。 |
(2) | 食事室の規模は、世帯人員に応じ、2人世帯の場合5m2(3畳)、3~4人世帯の場合は7.5m2(4.5畳)、5人以上世帯の場合は10m2(6畳)とする。 | |
(3) | 台所の規模は、世帯人員に応じ、2~3人世帯の場合は5m2(3畳)、4人以上世帯の場合は7.5m2(4.5畳)とする。 | |
3.居間 | (1) | 2人以上の世帯については、居間を確保する。 |
(2) | 居間の規模は、世帯人員に応じ、2人世帯の場合は10m2(6畳)、3人世帯の場合は13m2(8畳)、4人以上世帯の場合は16m2(10畳)とする。 | |
4.中高齢単身世帯又は高齢者同居世帯 | 上記1~3にかかわらず、次のとおりとする。 | |
(1) | 中高齢単身世帯については、食事室兼台所の規模を、13m2(8畳)とする。 | |
(2) | 高齢者同居世帯については、高齢者専用に居間を確保することとし、その規模は、10m2(6畳)とする。 | |
一般型 | ||
1.寝室 | (1) | 夫婦の独立の寝室(8畳)を確保する。ただし、満3歳以下の子供(乳幼児)1人までは同室とする。 |
(2) | 満4歳以上11歳以下の子供(幼稚園児から小学生まで)については、夫婦と別の寝室を確保する。ただし、1室2人まで共同使用とする(共同の場合8畳、個室の場合6畳)。 | |
(3) | 満12歳以上の子供(中学生以上)については、個室(6畳)を確保する。 | |
2.食事室及び台所 | 都市居住型と同じ | |
3.居間 | 都市居住型と同じ | |
4.余裕室 | 世帯がそれぞれのライフスタイルに応じて任意の用途に供することのできる空間として余裕室を確保することとし、その規模は、世帯人員に応じ、1人世帯の場合は7.5m2(4.5畳)、2~3人世帯の場合は10m2(6畳)、4人以上世帯の場合は13m2(8畳)とする。 | |
5.中高齢単身世帯又は 高齢者同居世帯 |
上記1~4にかかわらず、次のとおりとする。 | |
(1) | 中高齢単身世帯については、食事室兼台所の規模を、13m2(8畳)とする。 | |
(2) | 高齢者同居世帯については、高齢者専用に居間を確保することとし、その規模は、10m2(6畳)とする。 | |
資料:総務省「住宅・土地統計調査」(平成15年) | ||
(注1)誘導居住水準は、「住宅建設五箇年計画」において定めている居住水準のひとつであり、住宅・土地統計調査においては、「世帯人員別住宅規模」(居住室の床面積)を用いて、家族構成に応じた居住室の広さを算出し、水準を確保しているかどうか判定している。 |
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(注2)「都市居住型」とは、都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定したもの。「一般型」とは、都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定したもの。 |
ウ 住宅に対する意識
60歳以上の高齢者が、現在住んでいる住宅で困っていることについてみると、「住まいが古くなりいたんでいる」が15.8%と最も高く、次いで、「住宅の構造や造りが高齢者には使いにくい」10.8%、「日当たりや風通しが悪い」9.8%、「台所、便所、浴室などの設備が使いにくい」8.3%などの順となっている。また、「何も問題点はない」とした者は56.4%となっている(図1-2-57)。
図1-2-57 住宅で困っていること(複数回答)
現在住んでいる住宅の構造や設備に支障が「特にない」と答えた高齢者の割合は全体の77.1%であるが、住居形態別にみると借家に住んでいる高齢者では65.1%と低くなっている。
借家に住んでいる高齢者が支障があるとしている具体的な項目をみると、「浴室が使いにくい(狭い、寒い、暗い、手すりがなく入浴しづらいなど)」が14.4%、「トイレが使いにくい(遠い、寒い、暗い、手すりがないなど)」12.8%、「階段があり、昇り降りしにくい」が8.6%などの順となっている(図1-2-58)。
図1-2-58 住宅の構造・設備での支障(複数回答)
高齢者が虚弱化したときに望む居住形態についてみると、「現在の住宅にそのまま住み続けたい」が37.9%となっており、「現在の住宅を改造し住みやすくする」が24.9%、「介護を受けられる公的な施設に入居する」が17.9%となっている。
年齢階級別にみると、75歳以上の後期高齢者は、「現在の住宅にそのまま住み続けたい」の割合が高く、年齢が低くなるほど「現在の住宅を改造し住みやすくする」の割合が高くなっているが、改造希望の有無にかかわらず「現在の住宅に住み続けたい」という点では、いずれの年齢階級においても6割を超えている(図1-2-59)。
図1-2-59 虚弱化したときに望む居住形態(複数回答)
【高齢者の住生活については、第2章第3節4(1)「安定したゆとりある住生活の確保」を参照。】