第1章 高齢化の状況(第2節 2(2))

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第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

2 高齢者の経済状況

(2)高齢者世帯人員一人当たりの所得は全世帯平均と大きな差はない一方で、高齢者世帯間の所得格差が大きい

高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の年間所得(平成16(2004)年の平均所得)は296.1万円となっており、全世帯平均(580.4万円)の半分程度であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、190.8万円となり、全世帯平均(203.3万円)との間に大きな差はみられなくなる。

また、高齢者世帯の所得を種類別にみると、「公的年金・恩給」が206.0万円(総所得の69.6%)で最も多く、次いで「稼働所得」60.4万円(同20.4%)、「財産所得」13.4万円(同4.5%)などとなっている(表1-2-16)。

表1-2-16  高齢者世帯の所得
区分 平均所得金額
一世帯当たり 世帯人員一人当たり(平均世帯人員)
高齢者世帯 総所得 296.1万円 190.8万円(1.55人)
稼働所得 60.4万円 (20.4%)
公的年金・恩給 206.0万円 (69.6%)
財産所得 13.4万円 (4.5%)
年金以外の社会保障給付金 3.8万円 (1.3%)
仕送り・その他の所得 12.4万円 (4.2%)
全世帯 総所得 580.4万円 203.3万円( 2.85人)
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成17年)(同調査における平成16年1年間の所得)
(注1)高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。
(注2)財産所得とは以下のものをいう。
ア 家賃・地代の所得
世帯員の所有する土地・家屋を貸すことによって生じた収入(現物給付を含む。)から必要経費を差し引いた金額
イ 利子・配当金
世帯員の所有する預貯金、公社債、株式などによって生じた利子・配当金から必要経費を差し引いた金額(源泉分離課税分を含む。)

なお、高齢者世帯の世帯人員一人当たりの平均所得金額の推移をみると、平成8(1996)年は206.6万円であったものが12(2000)年には203.6万円、16(2004)年には190.8万円と若干減少している。

高齢者世帯の年間所得の分布をみると、「100~200万円未満」が26.0%で最も多く、次いで、「200~300万円未満」が19.8%、「100万円未満」が17.4%、「300~400万円未満」が17.0%と続いている。年間所得「300万円未満」の世帯の割合は、全世帯では約3割であるのに対し、高齢者世帯では約6割を占めており、所得の低い世帯の割合が高くなっている(図1-2-17)。

図1-2-17 高齢者世帯の年間所得の分布

また、生活保護を受けている者のうち65歳以上の者は38.7%を占めており、その中で65歳以上の単身世帯が27.5%、65歳以上の女性の単身世帯は16.4%を占めている(表1-2-18)。

表1-2-18 性・年齢別にみた被保護人員数(単身世帯再掲)

高齢者の所得格差の状況をジニ係数でみると、平成14(2002)年において一般世帯では当初所得のジニ係数が0.4123であるのに対して、高齢者世帯では0.8264となっており、高齢者間の所得格差が大きいことがわかる。再分配所得のジニ係数でみると、一般世帯が0.3605であるのに対して高齢者世帯は0.4058となっており、社会保障給付などの所得再分配の影響で格差は小さくなるものの、一般世帯と比べて格差が大きくなっている(表1-2-19)。

表1-2-19 ジニ係数でみた高齢者の所得格差の状況
  一般世帯 高齢者世帯
当初所得(万円) 609.5 92.0
可処分所得(万円) 566.3 279.3
再分配所得(万円) 622.7 390.1
ジニ係数 当初所得 0.4123 0.8264
再分配所得 0.3605 0.4058
資料:厚生労働省「所得再分配調査」(平成14年)
(注1)ジニ係数とは、分布の集中度あるいは不平等度を示す係数で、0に近づくほど平等で、1に近づくほど不平等となる。
(注2)「再分配所得」とは、当初所得から税金、社会保険料を控除し、社会保障給付(現物、現金)を加えたもの。
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