第1章 高齢化の状況(第2節 5(1))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
5 高齢者の社会参加活動
(1)活発になる高齢者の社会参加
ア 近所の人たちとの交流が弱まっている
60歳以上の高齢者の近所の人たちとの交流についてみると、「親しく付き合っている」は52.0%、「あいさつをする程度」は40.9%となっている。過去の調査結果と比較すると、「親しくつきあっている」が減少する傾向がみられる一方で、「あいさつをする程度」、「付き合いはほとんどしていない」が増加しており、近所同士の結びつきが弱まっている(図1-2-52)。
図1-2-52 近所の人たちとの交流
イ 高齢者は様々なグループ活動に参加するようになっているが、約半数は参加していない
60歳以上の高齢者のグループ活動への参加状況についてみると、54.8%が何らかのグループ活動に参加しており、10年前と比べて12.5ポイント増加している。具体的な活動についてみると、「健康・スポーツ」25.3%、「趣味」24.8%、「地域行事」19.6%、「生活環境改善」9.1%の順となっており、いずれの活動も10年前と比べて増加している(図1-2-53)。
図1-2-53 高齢者のグループ活動への参加状況(複数回答)
高齢者がグループ活動に参加したきっかけは、「友人、仲間のすすめ」(男性37.0%、女性48.5%)、「個人の意思で」(男性33.9%、女性32.1%)、「自治会、町内会の呼びかけ」(男性28.5%、女性17.9%)の割合が高くなっている(図1-2-54)。
図1-2-54 グループ活動に参加したきっかけ(複数回答)
一方で、グループ活動に参加しなかった者も半数近くいるが、その理由としては「健康・体力に自信がないから」(男性32.9%、女性41.7%)、「家庭の事情(病院、家事等)があるから」(男性19.5%、女性23.9%)の割合が高く、「どのような活動が行われているか知らないから」、「気軽に参加できる活動が少ないから」、「同好の友人・仲間がいないから」もそれぞれ1割程度となっている(図1-2-55)。
図1-2-55 グループ活動に参加しなかった理由(複数回答)
なお、高齢者が参加する団体や組織としては、「町内会・自治会」(39.1%)、「趣味のサークル・団体」(22.0%)、「老人クラブ」(20.9%)などが多く、これに対し「ボランティア団体」(6.0%)、「シルバー人材センターなどの生産・就業組織」(1.9%)、「市民活動団体(NPO)」(1.7%)は少数にとどまっている(複数回答)。
ウ NPO活動に対する関心は高いが、きっかけや情報の不足で実際に参加している人は少ない
地域の福祉や環境を改善することを目的としたNPO(市民活動団体)活動に関心があるかについてみると、「既に活動に参加している」が3.6%、「今後参加したいと思っている」が9.2%、「関心があるがよく分からない」が34.4%となっており、これらを合わせた「関心がある」が47.3%となっている。一方、「関心はない」が42.6%となっている(図1-2-56)。
図1-2-56 NPO活動への参加の有無
NPO活動に参加しなかった理由についてみると、「きっかけや機会がない」が最も多く、「NPO活動に関する情報がない」との回答も上位を占めている(図1-2-57)。
図1-2-57 NPO活動に参加しなかった理由(複数回答)