平成19年度 高齢社会対策(第2 1(1))

[目次]  [前へ]  [次へ]

第2 分野別の高齢社会対策

1 就業・所得

(1)高齢者の雇用・就業の機会の確保

ア 知識、経験を活用した65歳までの雇用の確保

平成18年4月から、事業主に対し、段階的に65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)を講じることを義務付けた「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(平成16年法律第103号。以下「改正高年齢者雇用安定法」という。)が施行され、19年4月より高年齢者雇用確保措置の義務化年齢が63歳に引き上げられた。このため、少なくとも63歳までの高年齢者雇用確保措置を講じていない事業主に対し、適切に指導・助言を行い、なお改善が見られない事業主については勧告を行う。

こうした指導・助言等に際しては、都道府県高年齢者雇用開発協会との連携を強化し、高年齢者雇用アドバイザーによる効果的な相談・助言を行う。

さらに、平成19年度から中小企業における定年延長等を推進するため、65歳以上への定年の引上げ等を実施した中小企業事業主に対して定年引上げ等奨励金を支給する。また、70歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止を実施した場合は上乗せ支給する。

公務部門における高齢者雇用については、再任用制度の活用を基本とし、平成19年度から再任用の上限年齢が63歳に引き上げられることをも踏まえ、その推進を図る。

イ 中高年齢者の再就職の援助・促進

事業主に対し、「定年」、「解雇」又は「継続雇用制度の定めるところによる退職」により離職することとなっている中高年齢者(以下「高年齢離職予定者」という。)に対し再就職援助措置を講ずる努力義務があること、そのうち「事業主都合の解雇等」又は「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったこと」により離職する高年齢離職予定者が希望した場合に、事業主はその職務の経歴、職業能力等の再就職に資する事項や再就職援助措置を記載した書面(以下「求職活動支援書」という。)を作成・交付する義務があることについて、周知・啓発を行うとともに、高年齢離職予定者が希望したにもかかわらず、求職活動支援書を作成しない事業主に対して指導等を行う。

その際には、必要に応じて、都道府県高年齢者雇用開発協会の高齢期雇用就業支援コーナー及び再就職支援コンサルタントを活用し、求職活動支援書の作成支援や再就職援助措置の内容等について相談・援助を実施する。

また、高齢者が自己の能力に関する認識を深めるとともに、高齢期においても希望と能力に応じて多様な働き方を選択し、その実現に向けて必要なキャリア・技能の向上を図っていくため、高齢期雇用就業支援コーナーにおいては、キャリアの棚卸し(労働者自らがどのような職業経歴を有し、それぞれの経歴においてどのような成果を上げ、どのような自己啓発等を行ってきたのか等を明確にすること)の支援等職業生活設計に関する相談・援助を行っている。さらに、平成19年より「団塊の世代」が60歳代に達すること等を踏まえ、雇用就業、ボランティア活動等に係る総合的な情報提供や相談・援助機能を強化する。

また、世帯主など特に再就職の緊急性が高い中高年齢者について、試行雇用を通じて常用雇用への移行を図ることを目的とした中高年齢者試行雇用事業を実施する。

さらに、地方公共団体と協同して、高年齢者職業相談室を地方公共団体の庁舎施設内等に設置・運営し、高年齢者を対象として、地方公共団体が行う生活相談との密接な連携を図りつつ、職業相談、職業紹介や、求人者に対する雇用相談等を行う。

このほか、事業主団体と公共職業安定機関との協力の下、技能講習、合同面接会等を一体的に行うシニアワークプログラム事業を実施している。

ウ 多様な形態による雇用・就業機会の確保

高齢者の多様な就業ニーズに対応し、高齢者が生きがいを持って地域社会で生活できるようにするため、定年退職後等において、臨時的・短期的又は軽易な就業を希望する者に対し、意欲や能力に応じた就業機会、社会参加の場を総合的に提供するシルバー人材センター事業について、引き続き「団塊の世代」を中心とした定年退職前の高年齢者を対象として、定年退職後の就業、生活に関する設計を立てる際の参考となるよう、シルバー人材センターにおいて就業体験を行う。

さらに、公共職業安定所等において、65歳を超えても働くことができるよう、事業主に対して高年齢者を雇用することの利点を啓発するとともに、高年齢者の多様なニーズに対応した求人開拓や面接会を行う定年退職者等再就職支援事業について、平成19年度は実施地域の拡大、セミナーの開催を追加し、実施する。

エ 起業の支援

45歳以上の中高年齢者が共同で事業を開始し、中高年労働者を雇い入れ、継続的な雇用・就業の場を創設・運営する場合に、当該事業の開始に要した経費の一部を助成することにより、それまでの就業による職業経験をいかして起業しようとする中高年齢者を支援する。

オ 年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けた取組

募集・採用時に係る年齢制限の緩和については、公共職業安定所で受理した求人のうち年齢不問求人の割合を高め、年齢にかかわりなく働ける社会の実現のため、引き続き事業主に対する啓発指導に取り組む。また、募集・採用に係る年齢制限の禁止を義務化することなどを盛り込んだ「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案」を第166回国会に提出している。

また、高年齢者雇用アドバイザーの活用を図りつつ、募集・採用時の年齢制限緩和等に係る相談・援助等の支援を行う。

さらに平成19年度からは、「70歳まで働ける企業」推進プロジェクトとして、先進的企業の取組内容を各地域で開催するシンポジウムで紹介し、人事処遇制度等の見直しに対する個別相談・援助を実施するとともに、各地域の事業主団体等に委託し、70歳までの一層の雇用に向けた取組、確保措置の円滑な実施及びその充実を図るための取組を一体的に行うことで、意欲と能力がある限り70歳まで働ける雇用機会の確保に向けた環境整備等を進める。

[目次]  [前へ]  [次へ]