第1章　高齢化の状況（第2節6（2））

第2節　高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向

6　高齢者の生活環境

（2）高齢者の安全・安心

ア　外出する機会が増加する一方、交通事故も増加傾向

６０歳以上の高齢者の外出状況についてみると、「ほとんど毎日外出する」が５９．７％と６割近くを占め、「ときどき外出する」は３２．９％、「ほとんど外出しない」は７．３％となっている。過去の調査と比較すると、「ほとんど毎日外出する」の割合が増加している（図１－２－６２）。

図１－２－６２ 高齢者の外出状況

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６５歳以上の高齢者の交通事故死者数をみると、平成１９（２００７）年は２，７２７人で１４（２００２）年より減少しつつあるが、交通事故死者数全体に占める割合は年々増加しつつあり、１９（２００７）年は４７．５％と統計が残る昭和４２（１９６７）年以降で最高となっている（図１－２－６３）。

図１－２－６３ 年齢層別交通事故死者数の推

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一方で、高齢運転者による交通事故件数についてみると、運転免許保有者の増加や高齢者が運転する機会が増加していることを背景として年々増え続けている。６５歳以上の高齢運転者（原付以上）による交通事故件数は、平成１８（２００６）年は９９，８５３件と、１７（２００５）年に比べ１．３％の増加となった（全年齢の計では５．１％の減少）。１０年前の８（１９９６）年と比較すると、６５歳以上の高齢者では２．２倍、７５歳以上の後期高齢者では約３．３倍と、高い伸びを示している（図１－２－６４）。

図１－２－６４ 高齢者による交通事故件数の推移（各年１２月末）

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イ　オレオレ詐欺・恐喝の被害者の約半数が高齢者

犯罪による６５歳以上の高齢者の被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、平成８（１９９６）年は１０万２，６５４件であったが、１８（２００６）年には１６万３，３２５件に増加している。実数としては、近年減少傾向にあるが、全被害認知件数の９．５％を占めており、緩やかな増加傾向にある。

なお、振り込め詐欺・恐喝事件のうち、いわゆるオレオレ詐欺・恐喝事件の平成１９（２００７）年の認知件数は６，４３０件である。そのうち年齢が判明している被害者６，３２９人を分析したところ、６５歳以上の割合は５９．２％となっている

また、警察庁の調べによると、還付金等詐欺事件の平成１９（２００７）年の認知件数は２，５７１件である。そのうち年齢が判明している被害者２，４７２人を分析したところ、６５歳以上の割合は５３．５％となっている。

６５歳以上の高齢者の火災による死者数（放火自殺者を除く。）についてみると、平成１８（２００６）年は８２６人であり、全死者数の５６．０％を占め、１３（２００１）年以降、急激な増加傾向にある（図１－２－６５）。

図１－２－６５ 犯罪、火災による高齢者の被害の推移

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ウ　消費トラブルの被害が年々増加している

全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が７０歳以上の相談件数は、平成１２（２０００）年度は４３，３３６件であったのが年々増加し、１８（２００６）年度は１３４，７３５件で、相談全体の１２％を占めている（図１－２－６６）。また、寄せられた相談について販売方法・手口をみると、家庭訪販が１３．７％、次いで電話勧誘が５．９％となっている。これは、高齢者が自宅にいることが多いことが背景にあると考えられる。

図１－２－６６ 契約当事者が７０歳以上の消費生活相談件数

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エ　家庭内で虐待を受けている高齢者の８割が「認知症あり」

家庭内で虐待を受けている高齢者（６５歳以上）についてみると、性別では女性が８割近くを占め、年齢階級別では７５歳以上の後期高齢者が８割を超えている。また、認知症のランク別では、介護等を必要とするランクIII以上がおよそ３割で、より自立度の高いランクI及びIIを含めた「認知症あり」では８割近くを占めている（図１－２－６７）。

図１－２－６７ 虐待を受けている高齢者の属性

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なお、虐待の加害者は、「息子」が３８．５％と最も多く、次いで、「配偶者」１９．８％（「夫」１４．７％、「妻」５．１％）、「娘」１４．５％、「息子の配偶者（嫁）」１０．７％となっている。