第1章 高齢化の状況(第3節2)
第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~
2 高齢者の社会的孤立の背景
○世帯構成の変化
- 65歳以上の高齢者のいる世帯では三世代世帯が減少し、単独世帯・夫婦のみ世帯が増加しており、世帯構成の観点からみた社会的孤立のリスクは高まっている。
- 近年の婚姻率の低下、離婚率の上昇が今後の高齢者の孤立を深刻化させる可能性がある(図1-3-5~6)。
○雇用労働者化の進行
- 職住が分離し地域との結び付きが浅い傾向にある雇用労働者化の進行が一因となって地域の人間関係が希薄化し、高齢者の社会的孤立の要因となっている可能性がある。
○生活の利便性の向上
- 家族や地域の人たちと交流をしなくても、生活が成り立つようになった。このため、高齢になり、健康上の理由などから生活に不便が生じ、市場で購入できる財・サービスだけでは暮らし難くなったときに頼れる人がいないという事態が生じやすくなっている。
○暮らし向きと社会経済的境遇
- 暮らし向きが苦しい人には、友人づきあいをしていない人や頼れる人がいない者が多い。
- また、高齢期にいたるまでの社会経済的境遇の影響で、安定した就労や居住、家庭生活を通じた人間関係の形成が長期にわたって阻害された結果が、高齢期の社会的孤立として表面化しているケースもあると考えられる。