第1章 高齢化の状況(第3節3)
第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~
3 高齢者の社会的孤立が生み出す問題
○生きがいの低下(図1-3-7)
- 高齢者全体では8割の人が生きがいを感じているが、友人がいない人では4割、近隣との付き合いをしていない人では6割にとどまっており、社会的孤立は生きがいや尊厳といった高齢者の内面にも深刻な影響をもたらす。
- また、諸外国の高齢者と比較すると、日本の高齢者は、別居している子との接触頻度が低い者が多く、家族や友人等との交流で生きがいを感じる者が少ない(図1-3-8)。
○孤立死の増加(図1-3-9)
- 23区内における一人暮らしの65歳以上の自宅での死亡者数は、平成20年は平成14年と比べ1.6倍に増加(東京都監察医務院の公表データ)していることから、この中に含まれる孤立死も増加していると推測される。
- 単身の居住者が誰にも看取られることなく(独)都市再生機構の賃貸住宅内(約76万戸)で死亡したケース(自殺や他殺を除く)は、平成20年度は平成11年と比べ約3倍に増加。
○高齢者による犯罪の増加
- 近年、高齢犯罪者の増加が著しい。平成20年では平成11年と比較すると検挙人員では約3倍、犯罪者率では約2.3倍(図1-3-10)。
- 高齢犯罪者の生活状況についてみると、過去に前科や受刑歴がある人ほど初犯者と比べ、単身者が多く、親族や親族以外との接触がない人が多い(図1-3-11~12)。
- 高齢犯罪者は、約3割が再犯者であるが、社会的な孤立が犯罪を繰り返す要因の一つとなっていることが推察される。
○消費契約のトラブル
- 高齢者の健康や経済状況、孤独感の不安を巧みにあおり、親切にして信用させるなど、高齢者を相手にした「家庭訪販」・「電話勧誘販売」等の被害や苦情が全国の消費生活センターに数多く寄せられている(図1-3-13)。
- 身近に相談できる人等がいれば、こうした被害の未然防止や被害拡大の防止が可能であり、孤立状態が被害の原因となっている。