第1章 高齢化の状況(第2節5(1))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
5 高齢者の社会参加活動
(1)活発になる高齢者の社会参加
ア 近所の人たちとの交流が弱まっている
60歳以上の高齢者の近所の人たちとの交流についてみると、「親しく付き合っている」は43.0%、「あいさつをする程度」は51.2%となっている。過去の調査結果と比較すると、「親しくつきあっている」が減少する傾向がみられる一方で、「あいさつをする程度」が増加しており、近所同士の結びつきが弱まっている(図1-2-5-1)。
イ 高齢者のグループ活動への参加は約6割で、今後の参加したい高齢者は約7割
60歳以上の高齢者のグループ活動への参加状況についてみると、59.2%が何らかのグループ活動に参加しており、10年前と比べて15.5ポイント増加している。具体的な活動についてみると、「健康・スポーツ」30.5%、「地域行事」24.4%、「趣味」20.2%、「生活環境改善」10.6%の順となっており、いずれの活動も10年前と比べて増加している(図1-2-5-2)。
また、何らかの活動に参加している人のほうが、活動に参加していない人よりも生きがい(喜びや楽しみ)を感じている(図1-2-5-3)。
さらに、社会参加活動に参加している人のほうが、参加していない人よりもおしゃれへの関心度が高くなっている(図1-2-5-4)。
今後の参加意向についてみると、「参加したい」(「参加したい」、「参加したいが、事情があって参加できない」と回答した人の計)と考える人は70.3%となっており、過去の調査と比較すると増加傾向にあり、初めて7割を超えた(図1-2-5-5)。
ウ NPO活動に対する関心は高く、特に近所の人たちとの交流の有無、親しい友人の有無でその関心度は異なる
地域の福祉や環境を改善することを目的としたNPO(市民活動団体)活動に関心があるかについてみると、「既に活動に参加している」が4.0%、「今後参加したいと思っている」が9.1%、「関心があるがよく分からない」が43.0%となっており、これらを合わせた「関心がある」が56.1%となっている。一方、「関心はない」が37.4%となっている(図1-2-5-6)。
また、近所の人たちとの交流の有無や親しい友人の有無と、NPOへの関心度との相関をみると、近所の人たちとの交流があるほうが、また、親しい友人を沢山もっているほうがその関心度が高くなっており、社会参加の状況が高齢者の中で二極化している可能性がある(図1-2-5-7,8)。
エ 奉仕的な活動の報酬について、受けるべきではないと考える高齢者が増加
地域のための奉仕的な活動の報酬についての考え方をみると、「地域活動だから、謝礼や報酬などは受けるべきではない」が46.3%と最も多く、「地域活動とはいえ、交通費などの実費ぐらいは受けてもよい」が37.9%、「交通費などの実費に加えて、謝礼の意味で日当ぐらいの報酬は受けてもよい」が6.1%となっている(図1-2-5-9)。