第1章 高齢化の状況(第3節4(3))

[目次]  [前へ]  [次へ]

第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~

4 「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へと向かう取組

(3)民と官の「協働」によるネットワークづくりを

第三のポイントは、住民・ボランティア・NPOなどの民間と地方自治体や専門家が良好な「協働」関係を築くことである。前項の「つながり」づくりの取組等を通じて把握した高齢者のニーズに対して、多種多様な「得意分野」を持ったボランティア、NPOなどと行政の「協働」のネットワークを通じて、支えられる人の視点に立った柔軟かつ多様な対応を用意することができる。
把握したニーズの中には、経済的困窮者や社会生活上の困難を抱えた人(刑務所出所者、ホームレス等)への対応のように、住民レベルのみでの対応が難しく、行政や専門家が対応する必要があるケースもあるものと考えられる。
官民の適切な役割分担について、一律の線引きは困難であるが、ボランティアやNPOには当然それぞれの問題意識や理念、活動経緯などに由来する「得意分野」があり、それらをうまく組み合わせつつ、どの分野は行政が自ら対応し、どの分野はNPOなどの創意に期待するか、地域住民にとっての「最適解」を見出すための地域における官民の意思疎通のネットワークが重要となる。
以上、社会的孤立に陥りやすい高齢者の特徴とその背景、社会的孤立から生ずる問題について概観し、あわせて社会的孤立を解消するための取組の方向性について考察してきた。
我が国の高齢化率は、今後、さらに上昇し、2055年には65歳以上が総人口の5人に2人、75歳以上が4人に1人という社会が到来し、その中で高齢者のひとり暮らしも増加するものと見込まれている。
本節で考察した高齢者の社会的孤立の状況を踏まえると、高齢者の孤立を防ぎ、社会との交流のある人間らしい生活を高齢期においても維持していくためには、地域社会における支え合いが不可欠であり、各主体が連携をとりつつ早急に取り組むことが求められているといえよう。

[目次]  [前へ]  [次へ]