第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節1(3))

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第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・所得

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立

我が国の公的年金制度は、年金を受給する高齢者世代をサラリーマンや自営業者等の現役世代が支える世代間扶養の仕組みを基本としており、年金は高齢者世帯の収入の7割を占めるとともに、国民の4人に1人が年金を受給しているなど、国民生活において欠くことのできないものとなっている。
こうした公的年金制度の基本的な考え方や重要性については、新聞等を活用した広報等を通じて啓発を図った。
基礎年金の国庫負担割合については、平成21年6月に、基礎年金国庫負担割合2分の1を実現するための「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」(平成21年法律第62号)が成立した。これにより、21年度及び22年度においては、財政投融資特別会計からの一般会計への繰入れにより臨時の財源を手当てし、基礎年金国庫負担割合を2分の1とするとともに、「税制の抜本的な改革」により所要の安定財源を確保した上で2分の1を恒久化することとなった。また、仮に恒久化する年度が24年度以降となった場合には、それまでの間も、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずることにより2分の1とすることとなった。
また、無年金・低年金問題への対応は極めて重要な課題であり、21年12月には、記録上では年金の受給資格期間を満たしていないが、任意加入等により年金受給に結びつく可能性がある63歳以上の加入者約50万人を対象として、加入期間の確認を促すためのお知らせを発送した他、記録上は受給資格期間を満たしているにもかかわらず請求を行っていない方に対して、請求を促すためのお知らせを送付するなどの対策を講じている。
さらに、平成22年通常国会に提出した「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律案」には、保険料を納めやすくすることで、将来の無年金・低年金を防止する等の観点から、国民年金保険料の納付可能期間を2年から10年に延長する等の措置を行うことを盛り込んでいる。
なお、年金額については、法律上、物価や賃金の変動に応じて毎年度額を改定することとなっているが、現在支給されている過去のマイナス物価スライドを特例的に据え置いた年金額(特例水準の年金額)については、法律上、足元の物価水準が直近の改定の前年(平成17年)の物価水準を下回った場合にその分だけ引き下げられる仕組みとなっている。21年の全国消費者物価指数は前年比マイナス1.4%となったが、17年の物価水準を上回っているため、22年度の年金額は改定されず、21年度と同額となる(老齢基礎年金:年額792,100円(40年加入の場合))。

イ 個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築

平成16年年金改正法においては、多様な生き方、働き方に対応した制度とする観点から、在職老齢年金制度の改善(60歳台前半の在職中の老齢厚生年金一律2割支給停止の廃止等)、次世代育成支援の拡充(育児休業中の保険料免除措置の対象を1歳未満から3歳未満に拡充する等)、障害年金の改善(障害基礎年金と老齢厚生年金等の併給を可能とする等)、離婚時の厚生年金の分割、第3号被保険者期間についての厚生年金の分割等の改正を行ったところであり、引き続き制度が円滑に実施されるよう努めている。

ウ 公的年金制度の一元化の推進

年金制度については、雇用の流動化など時代にあった、公平・透明で分かりやすい年金制度とする観点から、年金制度を例外なく一元化し、全ての国民が加入する「所得比例年金」と月額7万円の「最低保障年金」を骨格とする新たな年金制度のための法律を平成25年に成立させることとしており、こうした新しい年金制度について検討するため、3月に新年金制度に関する検討会を設置した。

エ 日本年金機構の発足と年金記録問題への対応

平成19年6月に成立した「日本年金機構法」(平成19年法律第109号)の施行に伴い、社会保険庁は廃止され、22年1月、新たに非公務員型の公法人として日本年金機構が設立された。
これにより、公的年金については、国が財政責任・管理運営責任を担いつつ、一連の運営業務は日本年金機構が厚生労働大臣から権限や事務の委任委託を受け、その直接的な監督の下で担うこととなった。
日本年金機構については、日本年金機構法に基づき、中期目標として以下のような事項について指示を行った。

  • 年金記録問題については、厚生労働省と密接に連携し、その対応を当面の最重要課題として取り組むこと
  • 厚生年金保険等の適用の促進、国民年金納付率の向上、年金相談の充実等のサービスの質の向上を図ること
  • 運営経費の抑制、外部委託の促進等の業務運営の効率化を図ること
  • アニュアルレポートの作成・公表をはじめとした情報公開の推進等の業務運営における公正性及び透明性の確保を図ること
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