第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節2(6))

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第3節 分野別の施策の実施の状況

2 健康・福祉

(6)子育て支援施策の総合的推進

平成21年度においては、16年6月に国の基本施策として閣議決定された「少子化社会対策大綱」の具体的実施計画として策定された「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月少子化社会対策会議決定)に基づき、若者の自立や働き方の見直し、地域における子育て支援など総合的な取組を進めている。
今般、「少子化社会対策大綱」及び「子ども・子育て応援プラン」を見直し、新たに子育て支援の総合的な対策である「子ども・子育てビジョン」(平成22年1月閣議決定)を策定した。この「子ども・子育てビジョン」では、子どもが主人公(チルドレン・ファースト)と位置づけ、「少子化対策」から「子ども・子育て支援」へ考え方を転換し、社会全体で子どもと子育てを応援する社会の実現を目指し、平成22年度から26年度までの今後5年間で目指すべき施策内容と数値目標を盛り込んでいる。今後は、同ビジョンの着実な実施に向け、政府を挙げて取り組んでいくこととしている。
また、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月閣議決定)及び「子ども・子育てビジョン」において、幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築については、平成22年前半を目途に基本的な方向を固め、23年通常国会までに所要の法案を提出するとされている。このため、22年1月29日には、関係閣僚を構成員とする「子ども・子育て新システム検討会議」が設置され、保育サービスを始めとする子育て支援サービス・給付の充実に向け、議論を進めることとしている。また、「新成長戦略(基本方針)」(平成21年12月閣議決定)においても、各種制度・規制の見直しについて記載されている。なお、社会保障審議会少子化対策特別部会では、こうした議論につながる検討を行ってきたところであり、21年2月には第1次報告、同年12月には議論の整理がなされている。
また、平成17年4月に本格施行した「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)に基づき、地方公共団体においては、地域における子育て支援や母性、乳幼児の健康の確保・増進、教育環境の整備等を内容とする地域行動計画、企業等においては、仕事と子育ての両立支援のための雇用環境の整備、働き方の見直しに資する労働条件の整備等を内容とする一般事業主行動計画が策定され、これに基づく取組が進められている。
地域行動計画は、5年を1期としてすべての地方公共団体に策定が義務付けられており、平成17年度から21年度末を計画期間とする「前期行動計画」についてすべての都道府県及び市区町村が策定済みである。最終年次にあたる21年度においては、過去5年間の取組の評価を実施し、22年度から26年度末までを計画期間とする「後期行動計画」の策定がおこなわれることとなっている。また、一般事業主行動計画については、21年12月末現在で策定し、都道府県労働局への届出が義務付けられている従業員301人以上の大企業の98.3%が届出済みとなっている。一方、策定・届出が努力義務となっている300人以下の中小企業においては22,954社が既に届出済みとなっている。さらに、次世代法に基づき企業が行動計画に定めた目標を達成したことなどの一定の基準を満たした場合は、申請を行うことで都道府県労働局長から認定される仕組みが19年4月から開始され、21年12月末現在で818社が認定を受けている。
さらに、平成19年12月に取りまとめられた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(平成19年12月少子化社会対策会議決定)を踏まえ、社会保障審議会少子化対策特別部会において次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について検討を行っており、21年2月には「第1次報告」がとりまとめられ、12月には議論の整理が行われたところである。20年2月には、保育施策や放課後対策を質・量ともに充実・強化し、推進するための「新待機児童ゼロ作戦」を策定し、20年度からの3年間を集中重点期間として、取組を進めることとしていた。このため、20年度には、「新待機児童ゼロ作戦」による保育所の整備等、認定こども園等の新たな保育需要への対応及び保育の質の向上のための研修支援などを実施し、子どもを安心して育てることができるような体制整備を行うための「安心こども基金」を都道府県に創設した。
また、平成21年度第1次、第2次補正予算において「安心こども基金」を増額し、保育所の整備等、認定こども園等の新たな保育需要への対応及び認定こども園等における教育の質の向上のための研修支援などを実施し、子どもを安心して育てることができるような体制整備を進め、保育サービス等の充実・拡充を行っている。
なお、平成18年6月に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(平成18年法律第77号)が成立し、同年10月から、就学前の子どもに対して教育、保育及び子育て支援を一体的に提供する施設を都道府県が認定する「認定こども園」制度が始まった。21年4月1日現在、全国で358件の認定が行われている。また、20年10月に内閣府特命担当大臣(少子化対策)、文部科学大臣、厚生労働大臣の3大臣合意により立ち上げた「認定こども園制度の在り方に関する検討会」において、<1>財政支援の充実、<2>二重行政の解消、<3>教育と保育の総合的な提供の推進、<4>家庭や地域の子育て支援機能の強化、<5>質の維持・向上への対応などへの対応などの認定こども園における課題について議論を進め、21年3月に報告を取りまとめた。21年度においては、報告書において指摘された課題について、対応可能なものから取り組み、その解消を図っているところである。

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