第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節3(2))

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第3節 分野別の施策の実施の状況

3 学習・社会参加

(2)社会参加活動の促進

ア 高齢者の社会参加活動の促進

(ア)高齢者の社会参加と生きがいづくり

高齢者自身が社会における役割を見いだし、生きがいを持って積極的に社会に参加できるよう、各種社会環境の条件整備に努めることが重要になっている。このため、地域において、社会参加活動を総合的に実施している老人クラブに対し助成を行い、その振興を図っている(図2-3-17)。

また、高齢者が自らその能力を発揮し、生きがいを持ちつつ生活への意欲を高めていくため、都道府県及び市町村が行う高齢者の社会活動の啓発普及、高齢者の生きがいと健康づくり活動への支援等を行っている。さらに平成21年9月には全国健康福祉祭(ねんりんピック)を北海道・札幌市で開催した。
さらに、高齢者等、様々な世代の方々がボランティアとして参加し、学校の教育活動を支援する「学校支援地域本部」を設置し、地域ぐるみで子どもを育てる体制づくりを支援する「学校支援地域本部事業」や、放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用し、安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、高齢者等の幅広い世代の地域住民の参画を得て、体験や交流活動等の機会を提供する「放課後子ども教室推進事業(放課後子どもプラン)」を全国で推進している。

(イ)高齢者の海外支援活動

豊富な知識、経験、能力を有し、かつ途上国の社会や経済の発展に貢献したいというボランティア精神を有する中高年が、海外技術協力の一環として、途上国の現場で活躍できるよう、引き続き独立行政法人国際協力機構を通じシニア海外ボランティア事業を実施した。平成21年度は、TICAD IVで表明された「水の防衛隊」(アフリカ地域での安全な水供給への協力)にシニア世代の持つ豊富な専門技術・経験を活用した(図2-3-18)。

(ウ)高齢者の余暇時間等の充実

高齢者等が日常生活において適切に情報を得ることができるよう、テレビジョン放送における字幕放送、解説放送等の充実を図ることは重要である。このため、字幕番組、解説番組等の制作に対し助成を行うなどして、平成19年10月に策定した20年度から29年度までの字幕放送と解説放送の普及目標を定めた行政指針の実現を目指し、各放送局の自主的な取組を促している。
高齢者の社会参加や世代間交流の促進、社会活動を推進するリーダーの育成・支援、さらには関係者間のネットワーキングに資することを目的に、地域参加に関心を持つ者が情報交換や多様な課題についての議論を行う「高齢社会フォーラム」を7月に東京、10月に福岡市において開催した
また、年齢にとらわれず自らの責任と能力において自由で生き生きとした生活を送る高齢者(エイジレス・ライフ実践者)や社会参加活動を積極的に行っている高齢者の団体等を毎年広く紹介しており、平成21年度においては、個人47名及び33団体を選考し、「高齢社会フォーラム」等を通じて、社会参加活動等の事例を広く国民に紹介する事業を実施した。

イ NPO等の活動基盤の整備

ボランティア活動の基盤の整備については、全国レベルでの福祉意識の高揚を図り、ボランティア活動に対する国民の理解を深めるとともに、ボランティア活動への参加の促進及び活動の全国的な振興を図るため、全国社会福祉協議会内の全国ボランティア活動振興センターに補助を実施した。全国ボランティア活動振興センターでは、全国ボランティアフェスティバル開催やボランティア活動等に関する広報・啓発活動、情報提供、研修事業等を実施した。
また、地方自治体や民間団体等に対し、「地域福祉等推進特別支援事業」として、既存の制度のみでは充足できない問題や制度の狭間にある問題など地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的・試行的取組へ補助を実施した。
高齢者福祉、共働き支援、村おこし、環境保護など、地域の様々な社会的課題をビジネスの手法を用いて解決するソーシャルビジネスを振興することで、高齢者や女性等の社会進出を促進し、地域における新たな産業や雇用の創出による地域活性化を図る。ソーシャルビジネス事業者の資金調達ニーズに対しては、民間金融を補完しつつ、日本政策金融公庫を通じてソーシャルビジネス事業者に対する融資を実施することで資金調達の円滑化に向けた環境整備を進め、事業活動の促進を目指す。
さらに、内閣府NPOホームページにおいて、全国の特定非営利活動法人に関する基本情報やNPO関連施策情報が入手できる「NPOポータルサイト」の運用などを行い、市民活動に関する情報の提供などを行っている(表2-3-19)。

表2-3-19 特定非営利活動法人の認証数
所轄庁名 認証数 所轄庁名 認証数 所轄庁名 認証数 所轄庁名 認証数
北海道 1,558 神奈川県 2,433 大阪府 2,646 福岡県 1,307
青森県 279 新潟県 510 兵庫県 1,443 佐賀県 286
岩手県 330 富山県 264 奈良県 328 長崎県 405
宮城県 528 石川県 271 和歌山県 294 熊本県 479
秋田県 217 福井県 215 鳥取県 178 大分県 424
山形県 336 山梨県 300 島根県 212 宮崎県 294
福島県 517 長野県 776 岡山県 518 鹿児島県 541
茨城県 479 岐阜県 558 広島県 594 沖縄県 402
栃木県 438 静岡県 898 山口県 343 都道府県計 35,718
群馬県 639 愛知県 1,270 徳島県 250   
埼玉県 1,379 三重県 509 香川県 230 内閣府 3,088
千葉県 1,482 滋賀県 454 愛媛県 290   
東京都 6,412 京都府 959 高知県 243 全国 38,806
資料:内閣府国民生活局(平成21年12月末現在)

さらに、国立・国定公園の利用の適正化のため、自然公園指導員の研修を実施し、利用者指導の充実を図るとともに、地方環境事務所等においてパークボランティア(約1,700名)を養成し、その活動に対する支援を全国25国立公園等40地区で実施した。
多様な個人が能力を発揮しつつ、自立して共に社会に参加し、支え合う「共生社会」を築いていくためには、地域住民やNPO等による社会活動の充実が必要不可欠であるという認識のもと、社会活動の中心的担い手となるリーダーを養成する「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」を実施している。
このプログラムは、高齢者分野において社会活動にたずさわる日本の青年を海外へ派遣するとともに、海外の民間組織で活動する青年リーダーを日本に招へいし交流することで、我が国の社会活動の中核を担う青年リーダーの育成と相互のネットワークの形成を目指すものである。
平成21年度は、10月に日本青年9名を英国へ派遣し、英国の高齢者政策を学ぶとともに高齢者支援活動の現場を視察し、そこで活動する青年達との意見交換を行った。また、翌22年2月に英国、フィンランド及びドイツの高齢者分野で活動する青年リーダー計13名を日本に招へいし、セミナーへの参加や現場視察等を行い、日本青年との意見交換等を行った。

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