平成22年度 高齢社会対策(第2 4(2))
第2 分野別の高齢社会対策
4 生活環境
(2)ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりの総合的推進
ア 高齢者に配慮したまちづくりの総合的推進
高齢者等すべての人が安全・安心に生活し、社会参加できるよう、高齢者に配慮したまちづくりを総合的に推進するため、バリアフリー環境整備促進事業を実施する。
商店街において大きな課題となっている空き店舗の解消・活用と、高齢化社会への対応を図るため、商店街の空き店舗を活用して、高齢者交流拠点としての機能を担うコミュニティ施設等を設置・運営する事業への支援を行う。
また、バリアフリー型カラー舗装等、高齢者等に配慮した商店街整備事業に対しても支援を行う。
イ 公共交通機関のバリアフリー化、歩行空間の形成、道路交通環境の整備
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号。以下「バリアフリー新法」という。)に基づき、公共交通事業者等による旅客施設や車両等のバリアフリー化の取組を推進する。
鉄道駅、旅客船ターミナルにおけるエレベーター、バリアフリー施設の整備については、補助を行うとともに、鉄道駅におけるエレベーターの設置に係る税制上の特例措置について、適用期限を1年延長する。
同様に、ノンステップバス等の車両の導入に対しては補助及び日本政策金融公庫による融資、低床型路面電車の車両の導入に対しては補助を行うとともに、ノンステップバス、リフト付バス、低床型路面電車、公共交通移動等円滑化基準に適合する客席数60席以上の航空機の導入に係る税制上の特例措置について、適用期限を1年延長する。
また、移動はあらゆる生活活動に伴い発生する要素であり、また、就労、余暇を支える要素である。したがって、その障壁を取り除き、すべての人が安全に安心して暮らせる道路交通環境づくりを行うことが重要な課題となっており、信号機、歩道等の交通安全施設等の整備を推進する。
高齢歩行者等の安全を確保するため、<1>幅の広い歩道の整備、<2>歩道の段差解消・勾配等の改善、<3>上下移動の負担を軽減するためのスロープや立体横断施設へのエレベーターの設置、<4>歩行者用案内標識の設置、<5>歩行者等を優先する道路構造の整備、<6>自転車道等の設置による歩行者と自転車交通の分離、<7>生活道路における通過交通の進入及び速度の抑制並びに幹線道路における交通流の円滑化を図るための信号機、道路標識、道路構造等の重点的整備、<8>バリアフリー対応型信号機の整備、<9>歩車分離式信号の運用、<10>携帯端末を用いて安全な通行に必要な情報提供及び信号機の青時間の延長を行う歩行者等支援情報通信システム(PICS)の整備、<11>信号灯器のLED(発光ダイオード)化を実施する。
また、「生活道路事故抑止対策マニュアル」を活用するなどして、路側帯の拡幅による歩行者通行環境の整備、車道の中央線抹消による車両の走行速度の抑制対策等を実施する。
積雪や凍結に対し、鉄道駅周辺や中心市街地等特に安全で快適な歩行空間の確保が必要なところにおいて、歩道除雪の充実、消融雪施設等の冬期バリアフリー対策を実施する。
高齢者が安心して自動車を運転し外出できるよう、ゆとりある道路構造の確保や視環境の向上、疲労運転の防止等を図るため、生活道路における交通規制の見直し、付加車線「ゆずりあい車線」の整備、道路照明の増設、道路標識の高輝度化・大型化、道路標示の高輝度化、信号灯器のLED化、「道の駅」等の簡易パーキングエリア、22年4月に施行される高齢運転者等専用駐車区間の整備等、道路交通環境の整備を実施する。
「心のバリアフリー」社会を実現し、ハード面のみならずソフト面も含む総合的なバリアフリー化を実現するため、高齢者等の介助体験・擬似体験等を内容とする「バリアフリー教室」の開催等ソフト面での取組を推進する。
高齢者や障害者等の移動制約者が必要に応じ移動に関する情報を入手し、快適・安心かつ安全に移動して積極的に活動できるバリアフリー環境をソフト施策の面からも構築するために、歩行空間ネットワークデータ等を活用し、モビリティサポートサービスの普及・展開を図る。
ウ 建築物・公共施設等の改善
バリアフリー新法に基づき、建築物のバリアフリー化を引き続き推進するとともに、同法に基づく認定を受けた優良な建築物(認定特定建築物)のうち一定のものの整備に対して支援措置を講じることにより、高齢者・障害者等が円滑に移動等できる建築物の建築を促進する。
窓口業務を行う官署が入居する官庁施設について、高齢者等すべての人が円滑かつ快適に施設を利用できるよう、窓口業務を行う事務室の出入口の自動ドア化、多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化を目指した整備を推進する。
都市公園については、バリアフリー新法に基づき、高齢者や障害者を含むすべての人々が快適に活動できるよう、主要な園路の段差の解消、車いすでも利用可能な駐車場やトイレの設置など、公園施設のバリアフリー化を推進する。また、平成21年度に創設された「都市公園安全・安心対策緊急総合支援事業」の活用によって、高齢者をはじめ誰もが安全で安心して利用できる都市公園の整備をより一層推進する。
エ 福祉施策との連携
大規模な公共賃貸住宅の建て替えに際して社会福祉施設等を原則として併設するとともに、公共賃貸住宅団地等を地域の福祉拠点として再整備する事業を推進する。
高齢者等居住安定化推進事業を創設し、公的賃貸住宅や一定の要件を満たす高齢者専用賃貸住宅と、高齢者の生活を支援する施設や医療設備等を一体的に整備する場合、国が直接支援することとしている。
また、高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に適正に配置するため、市街地再開発事業等において社会福祉施設等を一体的に整備する場合、補助の上乗せを行う。
農山漁村においては、ほ場整備等による福祉施設の用地の創出と農園等の整備を推進する。