第1章 高齢化の状況(第2節1(2))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
1 高齢者の家族と世帯
(2)子どもとの同居は減少し、諸外国と比べ別居している子との接触頻度が低い人が多い
65歳以上の高齢者について子どもとの同居率をみると、昭和55(1980)年にほぼ7割であったものが、平成11(1999)年に50%を割り、21(2009)年には43.2%となっており、子どもとの同居の割合は大幅に減少している。一人暮らし又は夫婦のみの世帯については、ともに大幅に増加しており、昭和55(1980)年には合わせて3割弱であったものが、平成16(2004)年には過半数を超え、21(2009)年には合わせて52.9%まで増加している(図1-2-1-4)。
年齢別にみると、年齢が低いほど子どもとの同居率は低くなる傾向にあり、80歳以上では男性が44.1%、女性が59.2%なのに対し、65~69歳では男性が39.6%、女性で39.8%となっている(図1-2-1-5)。
高齢者の心の支えとなっている人についてみると、配偶者・パートナーを挙げる人が3分の2近く(65.3%)おり、また、子どもを挙げる人も6割近く(57.4%)となっている。
また、諸外国との比較で見ると、日本とスウェーデンでは、「配偶者あるいはパートナー」(日本65.3%、スウェーデン70.9%)の割合が最も高く、アメリカでは、「子供(養子を含む)」(69.8%)の割合が最も高い。また、韓国とドイツでは、「配偶者あるいはパートナー」(韓国55.4%、ドイツ50.2%)と「子供(養子を含む)」(韓国57.1%、ドイツ52.0%)の割合が拮抗している。
また、「親しい友人・知人」を挙げた人の割合は、アメリカ46.5%、ドイツ32.3%、スウェーデン24.8%に対して日本は15.5%、また、「その他の家族・親族」の割合は、アメリカ35.0%、ドイツ13.9%、スウェーデン12.1%に対して日本は6.8%と、それぞれ日本の割合が低くなっている(図1-2-1-6)。
60歳以上の高齢者の別居している子との接触頻度についてみると、「週1回以上」(「ほとんど毎日」、「週に1回以上」の割合の合計)が51.9%(男性47.0%、女性56.1%)であるのに対し、「月に1~2回以下」(「月に1~2回」、「年に数回」、「ほとんどない」の合計)は48.1%(男性53.0%、女性43.9%)と、前者の割合が若干高くなっている。しかし、諸外国との比較をみると、前者の割合が、アメリカ、スウェーデンで約8割、韓国、ドイツでは約6割となっており、これらの国と比べると、我が国の高齢者は別居している子との接触頻度が低い人が多くなっている(表1-2-1-7)。
(%) | |||||||
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ほとんど毎日 | 週に1回以上 | 月に1~2回 | 年に数回 | ほとんどない | 週1回以上 | 月1~2回以下 | |
日本 | 20.6 | 31.3 | 29.9 | 15.5 | 2.6 | 51.9 | 48.1 |
(うち男) | 18.0 | 29.0 | 32.8 | 15.7 | 4.4 | 47.0 | 53.0 |
(うち女) | 22.8 | 33.3 | 27.5 | 15.3 | 1.1 | 56.1 | 43.9 |
韓国 | 17.0 | 44.8 | 26.3 | 10.0 | 1.9 | 61.8 | 38.2 |
アメリカ | 46.3 | 35.1 | 11.2 | 4.6 | 2.8 | 81.4 | 18.6 |
ドイツ | 23.7 | 38.9 | 19.4 | 16.1 | 2.0 | 62.6 | 37.5 |
スウェーデン | 31.1 | 49.1 | 13.8 | 5.3 | 0.7 | 80.2 | 19.8 |
資料:内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(平成22年) | |||||||
(注1)調査対象は、60歳以上の男女 | |||||||
(注2)子との接触とは、実際に会うことの他、電話等による接触を含む。 |
子どもや孫との付き合い方について、60歳以上の高齢者の意識をみると、平成22(2010)年度において、子どもや孫とは、「いつも一緒に生活できるのがよい」が33.1%、「ときどき会って食事や会話をするのがよい」が46.8%となっている。過去の調査と比較してみると、子どもや孫と「いつも一緒に生活できるのがよい」は、7(1995)年度まで過半数を超えていたが22(2010)年度調査では33.1%まで減少したのに対し、「ときどき会って食事や会話をするのがよい」の割合は、昭和55(1980)年度には30.1%であったものが平成22(2010)年度には46.8%まで上昇し、以前に比べると、より密度の薄い付き合い方でもよいと考える高齢者が増えていることがうかがえる(図1-2-1-8)。