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第1章 第4節 4 (2)高齢者の地域活動、ボランティア活動を促進している事例

第4節 高齢者が活躍できる環境づくり

4 事例紹介

(2)高齢者の地域活動、ボランティア活動を促進している事例

子育てを地域で支援する「ファミリー・サポート・センター」

乳幼児や小学生の送迎や放課後の預かりなどを地域住民が相互に行うことを橋渡しする「ファミリー・サポート・センター」は、厚生労働省の「子育て支援交付金」の対象事業として全国の669市区町村(平成23(2011)年度)に設置されており、有償ボランティアを行う会員は10万人を超えている。ファミリー・サポート・センターの運営を支援している財団法人「女性労働協会」の調査(22(2010)年度)によると、ボランティアで最も多いのが60歳代(28.3%)であり、70歳代(6.3%)も含めると、3人に1人は60歳以上である。活動内容は、「保育施設の保育開始前や保育終了後の子どもの預かり」(21.2%)が最も多く、次いで「保育施設までの送迎」(18.6%)、「放課後児童クラブ終了後の子どもの預かり」(14.6%)、「学校の放課後の学習塾等までの送迎」(10.1%)となっている。高齢男性も増えており、22(2010)年6月末時点で60歳以上の男性2,200人以上が会員となっている。

しかし、援助を受けたい人も増え続け、ボランティアの人数の3倍にあたる約35万人となっており、各自治体では、ボランティアを行う会員を募っている。

認知症高齢者を支える市民後見の取組

認知症高齢者等の尊厳のある暮らしを守るために、介護サービス手続き等の身上監護や財産管理を代行する「成年後見制度」の重要性が高まっている。現在、認知症患者数に対して、親族以外の後見人(弁護士、司法書士等)は決定的に不足しており、その新たな担い手として、市民が市民後見人養成講座で必要な知識を身につけ、「市民後見人」として活躍することが期待されている。

特定非営利活動法人「市民後見人の会」(東京都品川区)は、平成18(2006)年より成年後見活動の普及及び市民後見人の育成を目的に市民後見人養成講座を始め、20(2008)年からは品川区との共催事業として実施している。この講座を受講した定年退職者を中心とした100名余りの会員が、被後見人に対して正副2人の担当者がつく形で成年後見活動を行っている。会員はそれぞれのキャリアを生かして新たな課題に取り組み、稀に相続や不動産管理の問題等、専門的な知識が必要な場合には、専門家との人的ネットワークも活用し活動を行っている。

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