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第1章 第4節 4 (3)高齢者による被災地支援の事例

第4節 高齢者が活躍できる環境づくり

4 事例紹介

(3)高齢者による被災地支援の事例

高齢者のまごころをこめた「元気袋」

東日本大震災の直後から、被災者に「高齢者のまごころ」をこめた「元気袋」を送る取組が全国の老人クラブで行われた。この取組は、兵庫県の加古川市老人クラブ連合会が阪神・淡路大震災の際、皆で余った布を持ち寄って手作りの巾着袋をつくり、身の回りの品を入れて避難所に届けたことが発端である。東日本大震災では、財団法人「全国老人クラブ連合会」が日用品と激励のメッセージカードを詰めた「元気袋」の作成を全国の老人クラブに呼びかけ、取組は全国に広がった。このうち兵庫県の赤穂老人クラブ連合会で作成した元気袋は、平成23(2011)年4月17日に被災者の心のケアのために被災地に向かった兵庫県警のパトロール隊「のじぎく隊」に託され、宮城県石巻市の避難所などに届けられた。また、富山県老人クラブ連合会は、8月に福島に文房具や折り紙、縄跳び、被災児童へのメッセージを詰めた「元気袋」を送り、原発事故により外で遊ぶことができない子どもたちを励ましてきた。全国の老人クラブから被災地に届けられた元気袋は、23(2011)年11月末までに11万5千個を超えている。

高齢者のまごころをこめた「元気袋」
仮設住宅における「パラソル喫茶」の取組

特定非営利活動法人「市民福祉団体全国協議会」は、被災地の市民団体等と協力し、パラソルの下でお茶やコーヒーを振る舞う「パラソル喫茶」の取組を行ってきた。「パラソル喫茶」は、被災者が一息つくことのできる居場所づくりや住民同士の交流を目的に、平成23(2011)年5月に東松島市の避難所で設置したのが始まりで、避難所が閉鎖された後も東松島市のほか仙台市や山元町の仮設住宅等で行ってきた。24(2012)年2月までに各地で89回開催し、市民協が月1回用意するボランティアバス等で、シニアを中心とした延べ1300人以上が活動に参加してきた。活動を行っている間に、仮設住宅に住むお年寄りも、自主的に食事づくりやお茶運び等を手伝ってくれるようになったが、今後は、仮設住宅ごとにNPOをつくり住民自身による継続的な活動を支援することや、さらには被災者の自立に向けた仕事づくりにも取り組む予定である。

このように、震災でコミュニティーを失い、孤独感を感じる高齢者も多い仮設住宅においては、高齢者を含めた住民自身が活動に参加することが重要であり、それを支援する団体の活動も、今後ますます重要となるだろう。

「福島原発行動隊」の取組

公益社団法人「福島原発行動隊」は、福島第一原発事故の収束作業に当たる若い世代の放射能被曝を軽減するため、退役技術者・技能者を中心とする高齢者が、長年培った経験と能力を活用し、現場におもむいて行動することを目的として、平成23(2011)年4月に発足した。

同年7月には、福島第一原発内の現場視察を行い、また、放射線測定や除染等業務に関する研修にも参加して、現地での活動に備えているが、未だ現地での活動をスタートさせる環境が整っておらず、現在は学習会やシンポジウムの開催、提言活動、放射線量の測定、簡単な除染作業などを行っている。

平成24(2012)年5月現在で行動隊員は679人を数える。福島の事故現場では、10年以上にわたって安定的に動かす設備を建設し、これを保守しながら運転するという作業となるため、息の長い取組が必要であるが、若者の被ばくを最小限にとどめるために、現地での一刻も早い活動の開始を待ち望んでいる。

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