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第2章 第3節 1 (3)公的年金制度の安定的運営

第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・所得

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立

持続可能で安定的な公的年金制度を確立するため、基礎年金国庫負担割合の2分の1の維持が不可欠となっている。

平成23年度については、「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」(平成23年法律第121号)が成立し、復興債の発行による収入金を活用して、基礎年金国庫負担割合2分の1を維持した。

24年度については、交付国債により基礎年金国庫負担割合2分の1とするとともに、年金額の特例水準を解消することを内容とする「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」を24年2月10日に提出した。

また、消費税収により、26年度以降の基礎年金国庫負担割合2分の1を恒久化する等を内容とする公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を24年3月30日に提出した。

イ 個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築

働き方やライフコースの選択に影響を与えない中立的な公的年金制度とするという観点から、「短時間労働者への社会保険の適用拡大」や「産休期間中の社会保険料免除」等を盛り込んだ「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を平成24年3月30日に提出した。

ウ 公的年金制度の一元化の推進

「社会保障・税一体改革大綱」(平成24年2月17日閣議決定)では、「所得比例年金」と「最低保障年金」の組み合わせからなる一つの公的年金制度にすべての人が加入する「新しい年金制度の創設」について、「国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、実現に取り組む」こととしている。また、新しい年金制度の方向性に沿って行う、現行年金制度の改善項目として、「被用者年金の一元化」が盛り込まれ、24年度通常国会への必要な法案提出に向けて関係各省で検討を進めた。

エ 日本年金機構による適切な運営と年金記録問題への対応

日本年金機構については、厚生労働大臣が定めた中期目標に基づき、日本年金機構により作成された平成23年度計画を認可し、その着実な実施を求めることにより、公的年金制度の適切な運営の確保に努めた。

具体的には、年金記録問題への対応については、紙台帳等とコンピュータ記録の突合せを、年齢の高い年金受給者から優先的に実施するとともに、インターネットでの記録確認をより使いやすいものとした「ねんきんネット」サービスに年金見込額の試算を追加するなどの取組みを進めた。

また、国民年金の適用事務については、住民基本台帳ネットワークシステムにより把握した20歳、34歳及び44歳到達者に対する届出勧奨及び届出がない場合の資格取得等の手続を確実に実施した。国民年金の収納事務については、平成23年度の現年度納付率が平成21年度と同程度の水準(60.0%)を確保することを目標に、国民年金保険料収納事業受託事業者との連携・強制徴収業務の強化を図った。

厚生年金保険等の適用事務については、未適用事業所の確実な把握に向け、厚生年金保険と雇用保険の適用事業所の全数突合等を行った。厚生年金保険等の徴収事務については、適用事業所の新規適用時における口座振替の利用の協力を事業主に求めた。

給付事務については、年金給付の請求書を受け付けてから年金が決定され、年金証書が請求者の方々に届くまでの所要日数を設定した「サービススタンダード」の達成状況を適切に把握し、迅速な事務処理を推進した。

この他、年金相談の充実、サービスの質の向上や業務運営の効率化、業務の公正性・透明性の確保などの取組を進めた。

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