第2章 第3節 2 (5)高齢者医療制度の改革
第3節 分野別の施策の実施の状況
2 健康・福祉
(5)高齢者医療制度の改革
ア 高齢者医療制度の見直し
高齢者医療制度の見直しについては、平成24年2月17日に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」において、「高齢者医療制度改革会議のとりまとめ等を踏まえ、高齢者医療制度の見直しを行う。」、「具体的内容について、関係者の理解を得た上で、平成24年通常国会に後期高齢者医療制度廃止に向けた見直しのための法案を提出する。」としたことを踏まえ、関係者との検討・調整を行った。
イ 特定健診・特定保健指導
高齢化の進展等により今後も医療費の増加が見込まれる中で、国民皆保険を堅持していくためには、必要な医療は確保しつつ、効率化できる部分は効率化を図ることが重要であり、生活習慣病予防対策として、医療保険者において、平成20年度から特定健診・特定保健指導を行っている。平成22年度の特定健診実施率は43.3%、特定保健指導実施率は13.7%であった。
ウ 公的保険に依存しない多様な医療・介護周辺サービスの創出
公的保険に依存しない医療・介護機関と民間サービス事業者等が連携した新たなサービス産業創出のため、関連する規制・制度や、事業化の可能性について調査・検討を行った。
エ 地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供
国民が住み慣れた地域で生活することを支えるためには、医療・介護にまたがる様々な支援を提供する必要がある。在宅医療提供機関等を連携拠点として、医師・歯科医師・薬剤師・看護職員・ケアマネージャー等の多職種協働による在宅医療の支援体制を構築する取組をモデル的に実施した。
オ 老人医療費の動向
医療費の動向に着目すると、平成21年度の後期高齢者医療費は、約12兆0,108億円であり、国民医療費に占める割合は33.4%となっている。また、近年の傾向としては、我が国の国民医療費は国民所得の伸びを上回る伸びを示してきている。今後も人口の高齢化や医療の高度化などに伴い、医療費が増大していくことが予想される(図2-3-7)。
後期高齢者と若人を比較すると、平成21年度の後期高齢者一人当たり診療費は、若人の4.7倍(入院7.2倍、外来3.8倍)となっている。これを三要素に分解してみると、受診率は入院で6.6倍、外来で2.8倍、一件当たり受診日数は入院で1.4倍、外来で1.3倍、1日当たり診療費は入院で0.8倍、外来で1.1倍となっている(図2-3-8)。
また、医療費は地域によって高低があり、一人当たり後期高齢者医療費は、最高の県と最低の県で約39万円(約1.5倍)の差がある(図2-3-9)。