平成24年度 高齢社会対策 第2 1 (2)勤労者の生涯を通じた能力の発揮
第2 分野別の高齢社会対策
1 就業・所得
(2)勤労者の生涯を通じた能力の発揮
ア ゆとりある職業生活の実現等
仕事と生活の調和の実現のため、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進に向けた取組を中心として、労働者の働き方・休み方の改革を進めている。
今後とも長時間労働を抑制し、休暇取得促進を図る観点から、中小企業事業主に対する助成措置を行うなど、労使の自主的な取組を進める企業等に対する支援の充実を図る。
イ 雇用・就業における女性の能力発揮
勤労者の生涯を通じた男女雇用機会均等の更なる推進を図るため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう周知啓発、指導を行うとともに、事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。
また、実質的な男女労働者間の均等を確保するためには、男女労働者間に生じている事実上の格差の解消を目指すポジティブ・アクションの取組が不可欠である。このため、企業が具体的な取組を行うことができるよう必要な助言及び情報提供を積極的に行い、ポジティブ・アクションの一層の取組促進を図る。また、「均等・両立推進企業表彰」の実施やポジティブ・アクション普及促進のためのシンボルマーク「きらら」の活用促進、経営者団体と連携し開催する「女性の活躍推進協議会」等を通じて企業が自主的かつ積極的にポジティブ・アクションに取り組むことを促す。
さらに、中小企業に重点を置いた取組を促進するため、「見える化」支援ツールの周知を図るとともに、ポジティブ・アクションの具体的取組につなげるためのシステムづくり(均等の見える化)に向けて、男女間格差が生じる要因の「見える化」を図るとともに、格差解消に向けた労使の具体的な取組を促進する。
また、「食料・農業・農村基本法」(平成11年法律第106号)に基づき策定された「食料・農業・農村基本計画」(平成22年3月閣議決定)、「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」等を踏まえ、農業経営や6次産業化の取組等において女性の更なる活躍を推進するため、補助事業の実施に当たって、プランづくりへの女性の参画の要件化や女性優先枠を設定する等、女性の能力発揮を促進する施策を実施する。
ウ 職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進
(ア)改正育児・介護休業法の円滑な施行
平成24年7月1日の改正育児・介護休業法の全面施行に向けて、介護のための休暇制度の適用が猶予されている常時100人以下の労働者を雇用する事業主に対して、制度の内容を周知するとともに、企業において改正内容が定着し、法の履行確保が図られるよう事業主に対して指導等を行う。
また、中高年を中心として、家族の介護のために離・転職する労働者が増加していることから、仕事と介護との両立に当たっての課題及び企業における両立支援策の状況等について、積極的に実態把握を行う。
(イ)仕事と家庭を両立しやすい職場環境整備
育児や介護を行う労働者が働き続けやすい環境整備を推進するため、助成金の支給やファミリー・フレンドリー企業の普及促進を行う。
特に、仕事と育児・介護等の両立支援のための取組を積極的に行っており、かつその成果があがっている企業に対し、公募により「均等・両立推進企業表彰」を実施し、その取組を讃え、広く周知することにより、労働者が仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備を促進する。
また、両立支援に関する情報を一元化した「両立支援総合サイト」を紹介することにより、効果的、効率的な情報提供を行う。
エ 多様な勤務形態の環境整備
(ア)多様な働き方を選択できる環境の整備
パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号)に基づく是正指導や、正社員との均等・均衡待遇や正社員への転換に関する相談・支援のほか、事業主に対する職務分析・職務評価の導入支援及び均衡待遇・正社員化推進奨励金の支給等により、正社員との均等・均衡待遇確保のための取組を推進する。
また、所定労働時間が短いながら正社員として適正な評価と公正な待遇が図られた働き方であり、育児・介護や地域活動など個々人のライフスタイルやライフステージに応じた働き方を実現させるものとして期待される「短時間正社員制度」について、その導入・定着を促進するため、制度を導入した事業主に対して奨励金を支給するほか、同制度の概要や取組事例等の情報提供を行うサイトを運営するとともに、同制度の導入マニュアルを配布する等により、周知・啓発に努める。
(イ)情報通信を活用した遠隔型勤務形態の開発・普及
政府は平成22年5月に「新たな情報通信技術戦略」を策定し、その中で2.地域の絆の再生(2)高齢者等に対する取組に「テレワークの推進」を位置づけ、関係各省が連携して、テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を推進することとされた。
これに基づき、業務の効率化・高付加価値化による生産性の向上及び国際競争力の強化や災害時の事業継続性の向上等に資する多様な働き方を実現する施策(テレワークの普及・推進等)の検討等を行う。
また、時間や場所の制約を受けることのない柔軟な働き方を可能とするとともに、仕事と育児・介護の両立、高齢者等の多様な人材の就業機会の拡大に資するテレワークの本格的普及を図るため、民間企業に対するテレワークの導入・運営に係る人材支援を通じ、セキュリティレベル・業務内容等に応じたテレワーク優良導入モデルを確立し、その普及を図る。
さらに、在宅勤務ガイドラインの周知・啓発、テレワーク相談センターでの相談活動や、事業主・労働者等を対象とした「テレワーク・セミナー」の開催等により、引き続き適正な労働条件下でテレワークの普及を図る。