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第1章 第3節 5 団塊の世代の住居

第3節 団塊の世代の意識

5 団塊の世代の住居

団塊の世代の持家率は86.2%

現在住んでいる住居の形態をみると、「持家(一戸建て)」が最も多く75.3%であり、次いで「持家(分譲マンション等の集合住宅)」10.9%となっており、団塊の世代の持家率は86.2%と高い(図1-3-18)。

図1-3-18 団塊の世代の住居形態

今住んでいる家に住み続けたいが81.0%

現在の住まいからの転居の意向をみると、「転居したい」が11.7%で、「最近転居した」が2.3%となっており、両方あわせた『転居(計)』が14.0%となっている。一方、「今、住んでいる家に住み続けたい」が72.0%、「今、住んでいる家に住み続けるために(転居を伴わない)リフォームをした」が9.0%となっている(図1-3-19)。

団塊の世代の持家率は高く、住宅は生活の基盤となるものであることから、高齢期の特性に応じた住宅となるよう、バリアフリー化が行われるようにすることが重要であろう。

図1-3-19 団塊の世代の住まいの意向
コラム④:70歳現役応援センター

福岡県では、「65歳からは高齢者」という意識を改め、年齢にかかわりなく、それぞれの意思と能力に応じて様々な形で活躍し続けることができる「70歳現役社会」の実現に向け、平成24年4月に総合的な支援拠点として「70歳現役応援センター」を開設した。

「70歳現役応援センター」は、再就職のみならず、NPO・ボランティア活動など広範な選択肢を提供している点が特徴である。

センターには、相談員が2名、コーディネータが2名在籍し、協力・連携をしながら、相談者のニーズに応えていく。相談員が、一人ひとりに応じたアドバイスやカウンセリングを行い、再就職、派遣、起業、NPOボランティア活動など多様な選択肢の中から、相談者とともに今後の進路を設定する。

「何かやりたい」という漠然とした高齢者の思いをワンストップ窓口で受け付け、相談員と話していく中で、社会参加がよいのか、就業がよいのか、それぞれの思いを丁寧に聞いていくことで、高齢者の"漠然とした思い"を具現化していく。相談員やコーディネータをはじめとするセンター職員のきめ細やかな対応がセンターの最大の「売り」である。

コーディネータは、相談者のニーズと、求人企業とのニーズを文字通り1件1件「コーディネート」しており、就業する日数や曜日、就業時間といった就業形態の調整のみならず、実際に紹介するに先立ち、企業と高齢者の「人柄」のすり合わせをも行っている。

こうしたやりとりの蓄積がコーディネータとの信頼関係の構築につながり、人材を追加的に募集したり、他の企業へセンターの取り組みを紹介するといった「口コミ」でも雇用機会の新規開拓が広がっている。

福岡県の取組みは内外メディアの注目を集めており、他県のみならず、韓国からも視察が相次いでいる。こうしたスキームは全国的にも先進的な事例であるといえ、さらには今後、高齢社会となる世界各国における先進的なモデルともなりえるのであろう。

コラム⑤:お父さんお帰りなさいパーティー~地域デビューのお手伝い~

社会活動参加のきっかけ作りとして、東京都八王子市で「お父さんお帰りなさいパーティー」が行われている。

これまで仕事中心の生活を送ってきた'お父さん'も定年を迎えれば、多くの時間を地域の中で過ごすことになる。しかしながら、地域の中にどのような活動の場があるのか、何をしたらいいのかわからない人も多い。そういった定年前後の男性を中心(女性も参加可能)に、地域デビューのお手伝いをするのが、「お父さんお帰りなさいパーティー」(通称「オトパ」)である。

地域のボランティア活動や市民活動をしているグループ等を紹介し、市民活動を通じて地域貢献をしながら楽しい仲間作りをして、いきいきとした第二の人生を過ごしていただくきっかけ作りを目指している。

パーティーは、八王子市民活動協議会、八王子市、一般市民有志で構成する実行委員会により企画運営されており、今年(平成25年)は2月2日に34団体と235人の参加のもと第12回目が開催された。

パーティーの次第は、講演、市民活動団体の紹介、交流パーティーからなっている。市民活動団体の紹介では、ツアーガイドが5~6名の小グループに分かれた参加者を先導して各ブースを案内していく。会場には参加団体の活動内容を紹介するパネルや活動の中で製作した作品等が展示されたブースが設けられており、参加者はそれぞれのブースで、団体の方から直接お話しを聞くことができるようになっている。団体の方にとっては、自分たちの活動をPRする機会でもある。地域デビューを考える'お父さん'にとって「オトパ」は最適なイベントといえよう。

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