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第2章 第3節 1 (3)公的年金制度の安定的運営

第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・年金等分野に係る基本的施策

(3)公的年金制度の安定的運営

ア 持続可能で安定的な公的年金制度の確立

公的年金制度の安定的な運営のため、平成24年度に、政府として4法案を国会に提出し、以下のとおり、法律が成立した。

  • 「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第62号)
  • 「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第63号)
  • 「国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第99号)
  • 「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」(平成24年法律第102号)

今回の制度改正により、持続可能で安定的な公的年金制度を確立するため、平成24年度・25年度の基礎年金国庫負担割合については、年金特例公債により2分の1とすることとし、平成26年度以降についても、消費税収により、2分の1を維持することとしている。

また、これまで分立していた被用者年金制度を一元化し、制度の安定化を図ることにした。

イ 低年金・無年金問題への対応

低年金・無年金問題に対応するため、今回の制度改正により、年金の受給資格期間をこれまでの25年から10年に短縮することや、新たに年金制度の枠外で、年金受給者のうち、低所得高齢者・障害者等を対象として福祉的な給付を行うこととした。

ウ 働き方やライフコースの選択に中立的な年金制度の構築

働き方やライフコースの選択に影響を与えない中立的な公的年金制度とするという観点から、今回の制度改正により、短時間労働者への社会保険の適用拡大や産休期間中の社会保険料免除等を行うこととした。

エ 年金記録問題への対応・業務運営の効率化

日本年金機構については、厚生労働大臣が定めた中期目標に基づき、日本年金機構により作成された平成24年度計画を認可し、その着実な実施を求めることにより、公的年金制度の適切な運営の確保に努めた。

具体的には、年金記録問題への対応については、紙台帳等とコンピュータ記録の突合せを実施するとともに、インターネットでの記録確認を行える「ねんきんネット」サービスで、これまでの解明作業によっても持ち主の分からない記録について検索できるようにするなどの取組を進めた。

また、国民年金の適用事務については、住民基本台帳ネットワークシステムにより把握した20歳、34歳及び44歳到達者に対する届出勧奨及び届出がない場合の資格取得等の手続を確実に実施した。国民年金の収納事務については、平成24年度の現年度納付率が平成21年度と同程度の水準(60.0%)を確保することを目標に、国民年金保険料収納事業受託事業者との連携・強制徴収業務の強化を図った。

厚生年金保険等の適用事務については、未適用事業所の確実な把握に向け、法務省の保有する法人登記簿情報を活用するため、関係省庁との調整を行った。厚生年金保険等の徴収事務については、適用事業所の新規適用時における口座振替の利用の協力を事業主に求めた。

給付事務については、年金給付の請求書を受け付けてから年金が決定され、年金証書が請求者の方々に届くまでの所要日数を設定した「サービススタンダード」の達成状況を適切に把握し、迅速な事務処理を推進した。

この他、お客様と直接接する年金事務所等第一線の職員からの要望等に基づく業務運営の効率化や年金相談の充実、お客様サービスの向上や、業務の公正性・透明性の確保などの取組を進めた。

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