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第2章 第3節 1 (4)自助努力による高齢期の所得確保への支援

第3節 分野別の施策の実施の状況

1 就業・年金等分野に係る基本的施策

(4)自助努力による高齢期の所得確保への支援

ア 企業年金制度等の整備

AIJ問題を契機として顕在化した厚生年金基金等をめぐる課題について、平成24年4月から有識者会議を開催し、厚生年金基金等の今後の在り方について資産運用と財政・制度運営の両面から幅広い議論をした上で、7月に報告書を取りまとめた。このうち、資産運用の在り方に関しては、報告書で取りまとめられた基本方向に沿って厚生年金基金の資産運用ガイドラインの見直し案を策定し、9月に関連省令・通知等の見直しを行った。

また、厚生年金基金の制度の在り方については、厚生労働省が提示した試案に基づき、社会保障審議会年金部会の下に設置した「厚生年金基金制度に関する専門委員会」で議論を行い、平成25年2月に意見書を取りまとめた。

イ 退職金制度の改善

社外積立型の退職金制度を導入する等の改善を促進するとともに、中小企業における退職金制度の導入を支援するため、中小企業退職金共済制度の普及促進等の施策を推進している。

ウ 高齢期に備える資産形成等の促進

勤労者財産形成貯蓄制度の普及等を図ることにより、高齢期に備えた勤労者の自助努力による計画的な財産形成を促進する。また、勤労者財産形成年金貯蓄については、元本550万円を限度として、利子等については非課税措置が講じられている。

また、認知症高齢者等の財産管理の支援等に資する成年後見制度について周知を図っている(表2-3-2)。

表2-3-2 成年後見制度の概要
○ 制度の趣旨

本人の意思や自己決定の尊重、ノーマライゼーション等の理念と本人の保護の理念との調和を図りつつ、認知症等の精神上の障害により判断能力が不十分な方々の権利を擁護する。

○ 概要

法定後見制度と任意後見制度の2つがある。法定後見制度については、各人の多様な判断能力及び保護の必要性の程度に応じた制度とするため、補助・保佐・後見の3類型に分かれている。

(1)法定後見制度(民法)

3類型 補助 保佐 後見
対象者 判断能力が不十分な方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力を欠く常況にある方

(2)法定後見制度の充実(民法)

社会福祉協議会等の法人や複数の者が成年後見人等となることを認め、また成年後見人等の権限の濫用を防止するために監督体制の充実を図っている。

(3)任意後見制度(任意後見契約に関する法律)

自分の判断能力が低下する前に、公正証書によって、本人が選ぶ後見人(任意後見人)に将来の財産管理を委ね、その財産に関する法律行為についての代理権を付与する旨の任意後見契約を締結することができる。

(4)成年後見登記制度(後見登記等に関する法律)

プライバシー保護と取引の安全との調和を図る観点から、戸籍への記載に代わる公示方法として成年後見登記制度を設けている。

資料:法務省
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