第1章 第3節 高齢期に向けた「備え」に関する意識
第3節 高齢期に向けた「備え」に関する意識
我が国の平均寿命は、平成24(2012)年現在、男性79.94年、女性86.41年となっており、今後男女とも延びて平成72(2060)年には男性84.19年、女性90.93年になると見込まれている。長寿を享受できる社会を実現しつつある中、「人生90年時代」への「備え」が必要となっている。
本節では、資産、就労、社会参加、健康、住宅に関する高齢期に向けた「備え」についての意識を取り上げる。
1 経済的な備え
(1)世帯の高齢期への経済的な備えがあると感じている者は約2割
世帯の高齢期への経済的な備えの程度についてみると、「十分だと思う」(1.6%)と「最低限はあると思う」(21.7%)を合わせた「備えはある」とする人の割合は23.3%、「少し足りないと思う」(16.5%)と「かなり足りないと思う」(50.4%)を合わせた「足りない」とする人の割合は66.9%となっている(図1-3-1-1)。
また、若年層ほど「足りない」とする人の割合が高くなっている。
(2)世帯で受け取れると思う年金額は月額10万円から20万円が中心
世帯の高齢期に受け取れると思う年金の月額については、「10万円くらい」とする人が19.8%とする人が最も多く、次いで「15万円くらい」が19.1%、「20万円くらい」が16.2%、「5万円くらい」が10.6%となっている。一方、「受け取れないと思う」は7.0%、「わからない」は9.9%である(図1-3-1-2)。
(3)高齢期に備えて必要と思う貯蓄額は1,000万円~3,000万円が多い
世帯の高齢期に備えて必要と思う貯蓄額については、「2,000万円くらい」とする人が19.7%、「1,000万円くらい」が19.5%、「3,000万円くらい」が19.1%で、ほぼ同じ割合で多い。一方、「わからない」は15.8%となっている(図1-3-1-3)。
(4)高齢期の生計を「公的年金」で支えようと思う人が約8割
世帯の高齢期の生計を支えたいと思う収入源についてみると、「国民年金や厚生年金などの公的年金」が最も多く82.8%であり、次いで「貯蓄または退職金の取り崩し」が46.2%、「自分(または配偶者)の給与による収入」が45.6%、「民間の個人年金」が15.2%となっている(図1-3-1-4)。
高齢期の生計を支える主な収入源として、公的年金、貯蓄又は退職金の取り崩しを考える人が多い中、高齢期に受け取れる年金額や必要な貯蓄額が分からないとする人が一定程度存在しており、年金制度を始めとした高齢期の経済的な情報について提供していくべきであろう。