第1章 高齢化の状況
第3節 一人暮らし高齢者に関する意識
65歳以上の高齢者のいる世帯は、平成25(2013)年現在、2,242万世帯と、全世帯(5,011万2千世帯)の44.7%を占めている。特に65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女共に顕著であり、昭和55年には男性約19万人、女性約69万人、高齢者人口(65歳以上)に占める割合は男性4.3%、女性11.2%であったが、平成22年には男性約139万人、女性約341万人、高齢者人口に占める割合は男性11.1%、女性20.3%となっている。
一人暮らし高齢者の増加に伴い、安全安心の確保、孤立化の防止、地域活動の活性化によるコミュニティの再構築を促進する必要がある。本節では、一人暮らし高齢者の生活上の心配ごとや困りごと等を始めとした意識について取り上げる。
1 幸福感、不安に関する意識
(1)高い幸福度を感じる男性は、女性の半分
「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点として、現在どの程度幸せと感じるかをみると、平均は「6.59」点となった。0~4点の合計は11.3%であり、5点を選択する人が28.3%と最も多い。8点以上の割合を性別にみると、女性は10点(18.0%)、9点(8.5%)、8点(17.1%)で合計43.6%と、半数近くとなっている。男性は10点(8.4%)、9点(4.1%)、8点(10.2%)で合計22.7%と、女性の約半分となっている。
また、毎月の収入が多いほど幸福度が高いという傾向がみられる(図1-3-1)。
(2)4人に3人は経済的な暮らし向きに心配を感じていない
現在の経済的な暮らし向きについてみると、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」を合計した『心配ない』とする人の割合が76.1%、「家計にゆとりはなく、多少心配である」と「家計が苦しく、非常に心配である」を合計した『心配がある』とする人の割合の23.4%を大きく上回っている。毎月の収入別にみると、5万円未満の人の56.6%、5~15万円の人の68.0%、15万円以上の人の89.7%が「心配ない」としている(図1-3-2)。
(3)日常生活の最も高い不安は健康や病気のこと
「日常生活の不安」についてみると、健康や病気のこと(58.9%)とする人が最も多く、次いで、寝たきりや身体が不自由になり介護が必要となる状態になること(42.6%)、自然災害(29.1%)、生活のための収入のこと(18.2%)、頼れる人がいなくなること(13.6%)となっており、一人暮らし高齢者のリスクとして指摘されている「介護」、「社会的孤立」、「貧困」に関連した不安が挙げられている。その中でも健康状態が大きな不安であることが分かる(図1-3-3)。
多くの一人暮らしの高齢者にあっては、日常生活の中で病気や介護が必要な状態になること、自然災害の被害にあうことなどに不安を感じるとしており、これらの不安要因を軽減し安全で安心な暮らしを営むため、地域活動などを通じた健康状態の確認や災害時の避難対策など各種の支援も必要であろう。