平成28年度の高齢社会対策(第2 6)

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第2 分野別の高齢社会対策(6)

6 全世代が参画する超高齢社会に対応した基盤構築のための基本的施策

(1)全員参加型社会の推進

ア 若年者雇用対策の推進

青少年の雇用の促進等を図り、その能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずる「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第72号)が、平成27年9月18日に公布された。

同法において改正された「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)においては、①若者の適職選択に資するよう、職場情報を提供する仕組みの創設、②一定の労働関係法令違反の求人者について、ハローワークで新卒求人を受理しないこと、③若者の雇用管理が優良な中小企業についての認定制度の創設などの内容を盛り込んでおり、その取組を進めていく。(③については平成27年10月1日、①、②については28年3月1日施行)。

(ア)大学などの新卒者・既卒者に対する就職支援の推進

全国57か所の新卒応援ハローワーク等を拠点に、ジョブサポーターが新規学卒者等の在学中から就職、職場定着までの一貫した支援を展開する。

平成27年10月より若者の雇用管理の状況が優良な中小企業について、厚生労働大臣による認定制度(ユースエール認定制度)が始まっており、引き続きその普及等に取り組む。

加えて、28年3月より施行されている、新卒者の募集を行う企業が幅広く職場情報を提供する仕組みや、一定の労働関係法令違反の求人者についてハローワークで新卒求人を受理しない仕組みについて、その取組を着実に進めていく。

また、事業主に対して既卒3年以内新卒扱いについて周知を行うとともに、既卒者等の新規学卒枠での応募機会の拡大及び採用・定着の促進を図るため、28年2月より、3年以内の既卒者及び中退者を対象とした助成金制度を創設したところであり、当該助成金を活用した既卒者等の応募機会の拡大を図っていく。

(イ)フリーター等の正規雇用化の推進

全国28か所のわかものハローワーク等を拠点に、担当者制による個別支援、正規雇用に向けたセミナーやグループワーク等各種支援、就職後の定着支援を実施するとともに、職業訓練への誘導・あっせん機能を強化し、フリーター等の正規雇用化を促進する。

また、職業経験、技能、知識から安定的な就職が困難なフリーター等について、原則3か月間試行的に雇用し、その後の常用雇用への移行を図る「トライアル雇用奨励金」の活用を推進する。

イ 雇用・就業における女性の能力発揮

労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った男女均等取扱いがされるよう周知徹底、指導を行うとともに、事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。特に妊娠、出産、育児休業・介護休業の取得等を理由とする不利益取扱いについては、継続就業を妨げるものであることから、妊娠、出産、育児休業・介護休業の取得等をした労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主に雇用管理上の措置を義務付ける等の改正を行った男女雇用機会均等法の施行に向けて、改正法の周知や雇用管理上の措置を講ずるに当たっての取組支援を行う。

また、引き続き事業主に対する積極的な報告徴収、指導等を行い、妊娠、出産、育児休業・介護休業の取得等をしても安心して働き続けられるよう、不利益取扱いの未然防止の徹底を図る。また、労働者等への相談に迅速に対応するとともに、各企業の実情に応じた雇用管理の整備に向け、きめ細かい支援を実施する。

さらに、平成28年4月1日に全面施行される「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において、常時雇用する労働者の数が301人以上の事業主については、一般事業主行動計画の策定や女性の活躍に関する情報の公表等が義務付けられていることから、着実な法の履行確保に取り組む。

一方、労働者の6割以上は、努力義務である300人以下の事業主に雇用されているのが実情であるため、中小企業においても女性の活躍推進の重要性を理解し、取組を加速化させていく必要があることから、中小企業のための支援体制を構築し、集中的に中小企業の女性の活躍推進を支援する取組を講じる。

また、「女性の活躍・両立支援総合サイト」内の、企業の女性活躍状況に関する情報を一覧できる「女性の活躍推進企業データベース」の活用を促し、女性の活躍に取り組む企業ほど求職者等に選ばれる社会を目指すとともに、女性の活躍に取り組む企業を支援するための助成金制度や、「均等・両立推進企業表彰」等を実施する。

「食料・農業・農村基本計画」等を踏まえ、農業経営や6次産業化の取組等において女性の更なる活躍を推進するため、地域の農林水産業に関する方針決定の検討の場への女性の参画の義務化や女性による事業活用の促進、地域農業のリーダーとなり得る女性農業者の育成、女性の活躍推進に取り組む農業法人等の認定・表彰等により、女性の活躍を推進する施策を実施する。

各社の取組を加速化していくことを狙いとして、東京証券取引所と共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄(「なでしこ銘柄」)として選定する(24年度から実施)。女性を含め多様な人材の能力を活かして、イノベーションの創出、生産性向上等の成果を上げている企業を「新・ダイバーシティ経営企業100選」として表彰するとともに、先進企業が自社の取組を各地で紹介する等、ダイバーシティ経営の普及啓発を行う。

ウ 非正規雇用労働者対策の推進

非正規雇用対策については、非正規雇用の労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るため、正社員への転換、人材育成、処遇改善など、企業内でのキャリアアップを支援するための総合的な対策を推進していく。

また、平成27年7月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」を受けて、職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・拡大を図るため、多様な正社員の導入事例等の取組事例を収集し、ホームページへの掲載や全国主要地域でのシンポジウムの開催、雇用管理上の留意事項及び成功事例の周知・啓発を行うとともに、多様な正社員の導入を検討している企業に対するコンサルティングや助成制度等、支援措置を講じる。

あわせて、派遣労働者、有期雇用労働者及びパートタイム労働者といった非正規雇用の態様ごとの法制面での対応として、第189回国会において成立し、27年9月30日に施行された労働者派遣法改正法について引き続き内容の周知等を行い円滑な施行に取り組むとともに、有期契約労働者については、引き続き、改正労働契約法の周知等を行う。

また、パートタイム労働者については、パートタイム労働法に基づく是正指導等により同法の着実な履行確保を図る。

エ 子育て支援施策の総合的推進

少子化社会対策基本法第7条に基づく大綱等に基づき、子育て支援施策の一層の充実や結婚・出産の希望が実現できる環境の整備など総合的な少子化対策を推進していく。

子ども・子育て関連3法に基づく子ども・子育て支援新制度が、平成27年4月に本格施行されたことを受け、同制度の着実かつ円滑な実施並びに充実に取り組むとともに、28年4月1日に施行される「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律」の着実な履行に取り組む。

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