第2章 高齢社会対策の実施の状況(第1節)

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第1節 高齢社会対策の基本的枠組み

○我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、「高齢社会対策基本法」(平成7年法律第129号)に基づいている。

○高齢社会対策会議は、内閣総理大臣を会長とし、委員には関係閣僚が任命されており、高齢社会対策の大綱の案の作成、高齢社会対策について必要な関係行政機関相互の調整並びに高齢社会対策に関する重要事項の審議及び対策の実施の推進が行われている。

○高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法によって政府に作成が義務付けられているものであり、政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針となるものである。

○平成8年7月に最初の高齢社会対策大綱が策定されてから5年が経過した平成13年12月28日、高齢社会対策大綱が閣議決定された。それから10年が経過したことから、平成24年9月7日、高齢社会対策会議における案の作成を経て、高齢社会対策大綱が閣議決定された。

○高齢社会対策基本法の基本理念に基づく施策の総合的推進のため、

  • 「高齢者」の捉え方の意識改革
  • 老後の安心を確保するための社会保障制度の確立
  • 高齢者の意欲と能力の活用
  • 地域力の強化と安定的な地域社会の実現
  • 安全・安心な生活環境の実現
  • 若年期からの「人生90年時代」への備えと世代循環の実現

の6つの基本的考え方に則り、高齢社会対策を推進することとしている。

○一億総活躍社会の実現に向けて

「安心につながる社会保障」などの「新・三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」に向けたプランの策定等に係る審議に資するため、「一億総活躍国民会議」が開催された。平成28年6月2日には、「ニッポン一億総活躍プラン」が策定され、「介護離職ゼロ」に向けた取組の方向が示された。「介護離職ゼロ」に向けては、介護の受け皿整備に加え、介護の仕事の魅力を向上し、介護人材の処遇改善、多様な人材の確保・育成、生産性の向上を通じた労働負担の軽減を柱として25万人の介護人材の確保に総合的に取り組むなど介護の環境整備を行うほか、健康寿命の延伸と介護負担の軽減、障害者・難病患者・がん患者等の活躍支援、地域共生社会の実現について取り組むこととされた。

○働き方改革の実現に向けて

平成28年9月に「働き方改革実現会議」が開催され、時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現などによる非正規雇用の処遇改善、高齢者の就業促進等についての議論を経て、平成29年3月に「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。テーマの1つである「高齢者の就業促進」については、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備や、多様な技術・経験を有するシニア層が、一つの企業に留まらず、幅広く社会に貢献できる仕組みを構築するための施策等が盛り込まれた。

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