第1章 高齢化の状況(第3節)
第3節 <特集>「高齢者の住宅と生活環境に関する意識」(概要)
平成30年度「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」(内閣府)の結果(全国の60歳以上の男女1,870人に対して調査を実施)を踏まえ、住宅や生活環境と日常の活動状況等に関して特徴的な調査結果を紹介する。
○持家より賃貸住宅居住者で不安を感じている割合が高い
60歳以上の人に、将来の住まいに関して不安と感じていることがあるかどうかを聞いたところ、「不安と感じていることはない」とする人が71.1%であり、年齢が高くなるほど、割合が高くなる傾向がある。
持家、賃貸住宅の別で見ると、「不安と感じていることがある」とする人が「持家(計)」の24.9%に対し、「賃貸住宅(計)」の人が36.5%と高くなっている。
また、60歳以上の人のうち、「不安と感じていることがある」と答えた人が、具体的にどのような点を不安に感じているかを住居形態別に見ると、「持家(計)」の人は、「虚弱化したときの住居の構造」(29.7%)、「住宅の修繕費等必要な経費を払えなくなる」(26.5%)、「世話をしてくれる人の存在」(24.3%)を不安と感じている割合が比較的高いのに対し、「賃貸住宅(計)」の人は、「高齢期の賃貸を断られる」(19.5%)、「家賃等を払い続けられない」(18.2%)を挙げる割合が、比較的高くなっている。
○60歳以上の人のうち9割以上が現在の地域に住み続ける予定
60歳以上の男女に、現在住んでいる地域に住み続ける予定があるかどうかを聞いたところ、93.1%の人が「ある」と答えた。
○安心して住み続けるために必要なものは「近所の人との支え合い」が多い
60歳以上の人のうち、現在住んでいる地域に住み続ける予定の人に、安心して住み続けるためには、どのようなことが必要か聞いたところ、「近所の人との支え合い」(55.9%)が最も多くなっている。
また、年齢が高いほど「家族や親族の援助」が必要と考える割合が高くなる傾向がある。
同居形態別に見ると、「近所の人との支え合い」を挙げる人の割合は、親と同居する二世代世帯や三世代世帯で他の世帯形態より高くなっている。
○60歳以上の人の外出手段は自家用車が多い
60歳以上の人に対し、外出する際、どのような手段で外出しているのかを聞いたところ、「自分で運転する自動車」(56.6%)と「徒歩」(56.4%)が多く、「自転車」(22.4%)、「家族などの運転する自動車」(20.5%)、「電車」(20.3%)、「バス」(20.2%)がいずれも2割程度となっている。
○ほとんど毎日自動車を運転する人も多い
60歳以上の人のうち、自分で運転する自動車を外出の手段としている人に対し、運転頻度をたずねたところ、「ほとんど毎日運転する」と答えた人は約3分の2(67.4%)となっている。
「ほとんど毎日運転する」とした人の割合を都市規模別に見ると、都市規模が小さいほど毎日運転する割合が高くなる。
また、年齢別に見ると、年齢が高くなるほど運転頻度は少なくなる傾向があるが、80歳以上でも5割以上がほとんど毎日運転している。
○今後、車を運転することについての考え
60歳以上の人のうち、自分で運転する自動車を外出の手段としている人に対し、今後車を運転することについて、どのように思っているかを聞いたところ、「一定の年齢になったら、車の運転をやめようと思っている」人が40.4%、「視力の低下などにより運転の支障を感じたら、車の運転をやめようと思っている」人が39.8%となっている。
一方で「年齢や身体的な支障の有無にかかわらず、車の運転を続けようと思っている」人も11.5%いる。
○支えられるべき高齢者とは何歳以上と思うか
60歳以上の人に、一般的に支えられるべき高齢者とは何歳以上だと思うか聞いたところ、「60歳以上」又は「65歳以上」と答えた人は少なく、70歳より上の年齢を挙げた人が約8割であった。
年齢別に見ると、60~74歳までは「75歳以上」が最も多いが、75歳以上では「80歳以上」が最も多い。