第1章 高齢化の状況(第3節 1-2)
第3節 <特集>高齢者の住宅と生活環境に関する意識(2)
2 地域生活に関する状況
(1)60歳以上の人のうち9割以上が現在の地域に住み続ける予定
次に、60歳以上の男女に、現在住んでいる地域に住み続ける予定があるかどうかを聞いたところ、93.1%の人が「ある」と答えた。
年齢別に見ると、年齢が高くなるほど、住み続ける予定がある人の割合が増える傾向にある。
住居形態別に見ると、「持家(計)」に住んでいる人は、95.5%が住み続ける予定とする一方、「賃貸住宅(計)」では75.4%となっている(図1-3-4)。
(2)安心して住み続けるために必要なものは「近所の人との支え合い」が多い
現在住んでいる地域に住み続ける予定の人に、安心して住み続けるためには、どのようなことが必要か聞いたところ、「近所の人との支え合い」(55.9%)が最も多く、続いて「家族や親族の援助」(49.9%)、「かかりつけ医等健康面での受け皿」(42.6%)、「公的機関からの援助」(35.2%)、「移動手段や商業施設などの生活環境の利便」(30.1%)の順となっている。
年齢別に見ると、年齢が高いほど、「家族や親族の援助」が必要と考える割合が高くなる傾向がある。
また、同居形態別に見ると、「近所の人との支え合い」を挙げる人の割合は、親と同居する二世代世帯や三世代世帯で他の世帯形態より高く、「家族や親族の援助」を挙げる人の割合は、子や孫と同居する三世代世帯で高い。「かかりつけ医等健康面での受け皿」を挙げる人の割合は、親と同居の二世代世帯で高い。
一方、単身世帯では、いずれの項目でも、必要と感じる割合が他の世帯形態に比べて低い傾向が見られる(図1-3-5)。
(3)約6割が、あいさつ以外の近所づきあいをしている
ふだん、近所の人とどの程度のつきあいをしているかを聞いたところ、「親しくつきあっている」が30.0%、「あいさつ以外にも多少のつきあいがある」が29.1%と、合計で約6割があいさつ以外のつきあいをしている。
都市規模別では、規模が小さいほど、また、男女別では、男性より女性の方が、あいさつ以外のつきあいをしている割合が高い。
年齢別では、年齢が高いほど、あいさつ以外のつきあいをする割合が高くなる傾向が見られる一方で、「つきあいはほとんどない」人の割合も、年齢とともに徐々に増え、80歳以上では9.5%と約1割になる(図1-3-6)。
(4)家族や親族の中での役割
60歳以上の人に、家族や親族の中でどのような役割を担っているかを聞いたところ、「家事を担っている」が49.8%と約半数となる一方、「特に役割はない」とする人も22.2%いる。
家庭や親族での役割は、性や年齢による差が見られる。
「家事を担っている」や「小さな子供の世話をしている」は、女性で多い一方、「家族や親族関係の中の長である」、「家族の支え手である」は男性で多い。ただし、いずれも年齢が高くなるに従って、減少する傾向にある。
一方、「特に役割はない」とする人の割合は、男女別では男性で高く、また、年齢別では年齢が上がると共に高くなる傾向が見られ、80歳以上では男女とも4割程度となる(図1-3-7)。
(5)社会的な活動の実施状況
60歳以上の人が現在行っている社会的な活動は、「自治会、町内会などの自治組織の活動」が26.5%と最も多く、「趣味やスポーツを通じたボランティア・社会奉仕などの活動」が17.5%となっている。一方で、「特に活動はしていない」人は60.1%を占めている。
都市規模別では、大都市で「特に活動はしていない」人が71.5%と、他の都市規模が5割台であるのに比べて高い。
性別では、男性で「自治会、町内会などの自治組織の活動」(30.5%)をしている人の割合がやや高い。
年齢別では、「特に活動はしていない」人の割合が、60~79歳では6割前後で大きな変化が見られないが、80歳以上になると72.2%と高くなっている。
また、住居形態別に見ると、「持家(計)」が、「賃貸住宅(計)」より「特に活動はしていない」とする割合が低い。仕事の状況別に見ると、有職より無職の方で、「特に活動はしていない」とする割合がやや多くなっている(図1-3-8)。