第1章 高齢化の状況(第1節 5)

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第1節 高齢化の状況(5)

5 高齢化の要因

高齢化の要因は大きく分けて、1.年齢調整死亡率の低下による65歳以上人口の増加、2.少子化の進行による若年人口の減少、の2つである。

(1) 年齢調整死亡率1の低下による65歳以上人口の増加

65歳以上人口の増加に伴い、死亡者の実数は増加傾向にあるが、人口の年齢構成に変化がないと仮定した場合の年齢調整死亡率は低下傾向にある。戦後、我が国では、生活環境の改善、食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩等により、年齢調整死亡率が大幅に低下し、平成17年を境に算出方法が異なるため単純に比較はできない2が昭和22年の男性23.6、女性18.3から、令和2年には男性13.3、女性7.2になった(図1-1-12)。


(注1) 死亡数を人口で除した通常の死亡率(以下「粗死亡率」という。)は、高齢者の多い集団では高くなる。人口の年齢構成は毎年変化するので、粗死亡率は年次比較には適さない。そこで、人口の年齢構成が毎年一定であると仮定して(これを「基準人口」という。)死亡率を算出したのが、年齢調整死亡率である。計算方法は以下のとおり。
年齢調整死亡率={[観察集団の各年齢(年齢階級)の死亡率]×[基準人口集団のその年齢(年齢階級)の人口]}の各年齢(年齢階級)の総和 / 基準人口集団の総数( 通例人口千人当たりで表示)

(注2) 年齢調整死亡率の算出に当たっては、従来、昭和60年モデル人口(昭和60年国勢調査人口を基に補正した人口)を基準人口として算出していたが、令和2年人口動態統計より、平成27年モデル人口(平成27年国勢調査の日本人人口を基に補正した人口)へ変更となり、平成17年まで遡及して算出している。本白書では、令和4年4月1日時点において遡及算出結果が公表されている平成17年以降の年齢調整死亡率については、「平成27年モデル人口」により算出されたものを掲載している。

(2) 少子化の進行による若年人口の減少

我が国の戦後の出生状況の推移を見ると、出生数は、第1次ベビーブーム(昭和22~24年。この間の出生数805万7,054人)、第2次ベビーブーム(昭和46~49年。この間の出生数816万1,627人)の2つのピークの後は減少傾向にある。令和2年の出生数は84万835人、出生率(人口1,000人当たりの出生数)は6.8となり、出生数は前年の86万5,239人より2万4,404人減少した。

また、合計特殊出生率(その年次の15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子供の数に相当する。)は、第1次ベビーブーム以降急速に低下し、昭和31年に2.22となった後、しばらくは人口置換水準(人口を長期的に維持するために必要な水準)前後で推移してきたが、昭和50年に1.91と2.00を下回ると、平成5年に1.46と1.50を割り込んだ。その後も低下傾向は続き、平成17年には1.26と過去最低を記録したが、令和2年は1.33となっている。

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