第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス2)

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第3節 〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(トピックス2)

グリーンスローモビリティの取組事例2 ~スローな空間・スローな乗り物~

事業の目的・概要

岡山県笠岡市では、高齢化が著しく進展する離島(北木島(人口646人、高齢化率74.8%)・高島(人口71人、高齢化率62.0%))において、高齢者の移動支援のほか、「日本遺産」認定に伴う観光客増への対応、燃油に頼らない移動手段確保のため、実証実験を経て令和2年12月に本格的にグリーンスローモビリティを導入し、観光客の輸送や買物・通院のため本土へ向かう島民の港までの移動手段の確保を目的として、島内交通をNPO法人や自治会が運行主体となり実施している。

※トピックスにおいては、人口及び高齢化率は令和4年3月31日時点

具体的な取組内容

北木島では、NPO法人により、自家用有償運送によるデマンドタクシー形態で運行されており、自宅前から港までのドア・ツー・ドアの移動サービスを実施している。また、観光客は、「日本遺産」の点在するスポットを解放感のある車両で島の空気を感じながら巡ることができる。

高島では、自治会により運行され、利用者は無償で利用でき、デイサービスや百歳体操への参加など日常における外出支援や、生活用品の運搬などの生活支援に活用されている。

事業効果

北木島では、島内利用者と運転手との日頃のコミュニケーションによる運転手からの誘い出し等によって、外出機会の増進につながっているほか、緊急時の搬送などにも活用されている。また、島外利用者にも運転手から声掛けし、観光案内も含めた送迎が行われており、利便性の向上に貢献している。

高島では、道路拡幅により、四輪車両の乗り入れ可能エリアが拡大し、90歳を超える方が外出可能となるなど、長生きの秘訣ともいえる社会とのつながりの維持に欠かせないアイテムになっている。また、車両は高島のオリジナルキャラクターのステッカーで装飾され、愛称をつけて島民全体で親しみを持って利用されている。

今後の展開

北木島、高島において周知を重ね利用者拡大を図りながら、他の島においてもグリーンスローモビリティの導入を検討する。独居高齢者が、島での暮らしを安心して続けられる一助となるよう活用を進める。

なお、今後も持続可能な取組とするため組織内での後継者育成が求められている。

グリーンスローモビリティの運行の様子1 グリーンスローモビリティの運行の様子2

【グリーンスローモビリティの運行の様子】

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