第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス7)
第3節 〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(トピックス7)
社会活動への参加促進の取組事例1 ~野菜づくりで生きがいづくり~
事業の目的・概要
大阪市鶴見区においては、定年退職後の高齢者の地域での居場所づくりや社会活動への参加が課題となっており、それを促すため、栽培した野菜をこども食堂等へ無償で提供するボランティア講座を社会福祉協議会が平成29年秋に開催した。
その講座終了時の話合いで、受講者らで引き続き活動する意思のもと、平成30年4月に「鶴見区シニアボランティアアグリ」(以下「アグリ」という。)が立ち上げられた。
民間企業からの助成金で農具を購入し畑の栽培面積が拡大したことで、野菜の種類や量も増加し、こども食堂等へ提供した後で返ってくる「おいしかったよ!」の声やお礼メールでモチベーションが高まり、次の栽培への活力や生きがいにつながっている。
具体的な取組内容
安心・安全な野菜を1年を通して計画的に栽培し、区内のこども食堂等へ無償提供している。
その際、持続的に野菜を提供できるよう、年会費や民間企業からの助成金を活用して種や農具を購入している。
また、見学依頼を随時受けることでメンバーの新規加入につなげるとともに、児童向けの芋掘り体験会を行うことで世代間交流の機会をつくり、新たな活力につなげている。
他方、ボランティア活動であることから、高齢者が自分のライフスタイル(仕事、介護、趣味、学習)に合わせて参加し、気兼ねなく可能な範囲で活動できるよう留意しているほか、週1回の全体ミーティングで一緒に考え、協力することで、仲間意識を高めるとともに、ミーティングに参加できない人でも、別の日に水やり当番に参加したり、得意なパソコンスキルを活かして助成金の申請書を作成したり、Facebookで活動を発信したりと、それぞれ力を発揮できるような環境づくりを行っている。
事業効果・今後の展開
「アグリに加入したことで仲間ができ、他の運動サークルへの誘いにも参加するなど居場所が増えた。」「病気を患ったが、治療後の回復が早く、体力が戻り次第アグリの活動に復帰した。」といった体験談が寄せられている。
今後は、活動内容を広く住民に周知し、新たに貸与可能な土地所有者も探しながら、定年退職後の高齢者の社会活動・生きがいづくりの場を増やしていくこととしている。
【農作業の様子】
【児童向け芋掘り体験会の様子】