第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス)

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第3節 〈特集〉高齢者の健康をめぐる動向について(トピックス)

事例1 新潟県佐渡市 ~和太鼓を活用した高齢者の健康づくりと社会参加~

事業の目的・概要

新潟県佐渡市(人口4万9,947人、高齢化率42.7%)は、毎年約1,000人が減るという大幅な人口減と高齢化により、コミュニティの維持も困難になりつつある、まさに日本の課題の縮図ともいえるような状況である。

そのような中、市の介護予防教室の1つとして、平成26年より和太鼓を活用したエクササイズ(運動)が実施され、高齢者の健康増進や認知症予防のみならず、社会参加の促進やコミュニティの再活性化といった地域の課題の解決にまちぐるみで取り組んでいる。

介護予防教室の様子

〔介護予防教室の様子〕

具体的な取組内容

市民の健康寿命が新潟県の平均を下回っていたことに加えて、老人クラブの登録者数が大きく減少するなど、高齢者の社会参加やコミュニティの維持に課題があった中、佐渡の伝統芸能である和太鼓の活用に関心を持った地元の医師の提案をきっかけに開始された。

訓練を受けたファシリテーター(進行役)の下、「楽しんでやること」をモットーに、和太鼓やバチを活用して体と頭を使うエクササイズを行っている。

市域が広大である一方、公共交通機関が少ないため、参加者の移動手段の確保が課題となっており、市内の各地域において教室を開催するとともに、出前教室も実施している。

事業効果

参加者からは、曲がった腰が伸び姿勢が良くなった、2階まで階段で上がれるようになったなど、基礎的な体力の向上が報告されている。また、参加していくにつれて、表情が明るくなった、内向的だった性格が社交的になったといった、心理的な効果も表れている。

さらに、教室後に参加者同士でお茶や食事に行くなど、社会参加のきっかけとなり、修了者同士で自主的な活動グループを立ち上げ、市の文化祭で演奏を披露したほか、メンバーによる旅行も企画するなど、コミュニティの形成にもつながっている。

自主的な活動グループの様子

〔自主的な活動グループの様子〕

今後の展開

60代の方はまだ就労率が高く、参加者は70代以降の方が多いため、早期から参加してもらえるよう活動の周知を図るとともに、週末の開催も検討している。

今後は、より多くの市民に参加してもらい、最終的には、健康寿命の日本一を目指している。

※トピックスの事例においては、人口及び高齢化率は特に断りのない限り令和5年3月31日現在
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