第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス)
第3節 〈特集〉高齢者の健康をめぐる動向について(トピックス)
事例2 愛知県一宮市 ~次世代へつなぐ「通いの場」への挑戦~
事業の目的・概要
愛知県一宮市(人口37万9,538人、高齢化率27.2%(令和5年4月1日現在))では、一般社団法人地域社会福祉サービス支援機構が、高齢期になってもいきいきと元気に過ごすための健康づくり・健康維持をテーマに、地域の公民館を拠点とした「通いの場(オフライン)」の活動と、コロナ禍をきっかけとした「在宅(オンライン)」の活動を組み合わせて、高齢者の社会参加を図り、次世代型のコミュニティづくりに取り組んでいる。
具体的な取組内容
地域の高齢者を始めとする幅広い世代を対象に、参加者が歩いて移動できる距離にある公民館での健康体操やスポーツスタッキング※1、公園でのモルック※2など、通いの場を開催している。
また、コロナ禍以前から、今後のさらなるデジタル化の進展を見据えて、スマートフォン教室も開催しており、高齢者のデジタルデバイドの解消に取り組んでいた。
その結果、コロナ禍により高齢者の外出が制限される状況にあっても、SNSによる茶和会の開催や健康づくりに関する動画の配信等の活動を継続し、高齢者の社会参加の機会を確保することができた。
事業効果
スポーツスタッキングの自主的なクラブが発足し、大会が開催されるのみならず、ドローン体験会や衣類のリサイクル活動など、幅広い活動が高齢者により主体的に実施されるようになった。
さらに、小学生によるスポーツスタッキング大会が開催されるなど、高齢者の健康づくりに留まらず、多世代交流のきっかけとなっている。
また、コロナ禍がオンラインによる社会参加のきっかけとなり、高齢者のICTリテラシーのさらなる向上が図られ、オフラインとオンラインを組み合わせた新たな形のコミュニティが構築されている。
〔スポーツスタッキングの様子〕
〔健康づくりに関する動画〕
今後の展開
これまでの「講師の下で学ぶ」形式から、「皆で学び合い、教え合う」形式へ誘導することで、高齢者が主体的に運営できるようにし、持続可能な活動を目指している。
また、コロナ禍が収束した後も、オフラインとオンラインを組み合わせた活動を継続し、オンラインによる社会参加を浸透させていく予定である。