第1章 高齢化の状況(第3節 2)
第3節 〈特集〉高齢者の住宅と生活環境をめぐる動向について(2)
2 高齢期における住み替え3に関する意識について
(1) 住み替えの意向の有無
「ある」又は「現時点ではその意向はないが、状況次第で将来的には検討したい」と回答した人(以下「住み替えの意向を持っている人」という。)は、全体の約3割に上る。
性別でみると、男女で住み替えの意向を持っている割合に大きな差はみられない(図1-3-16)。
年代別でみると、年代が低くなるほど、住み替えの意向を持っている割合が高い(図1-3-17)。
持家/賃貸住宅の別でみると、賃貸住宅に居住している人の方が、住み替えの意向を持っている割合が高い(図1-3-18)。
家族形態別でみると、単身世帯の人はその他の世帯の人に比べて、住み替えの意向を持っている割合が高い(図1-3-19)。
(2) 住み替えの意向を持つようになった理由
全体でみると、「健康・体力面で不安を感じるようになったから」、「自身の住宅が住みづらいと感じるようになったから」と回答した割合が高い(図1-3-20)。
性別でみると、男性は「自然豊かな環境で暮らしたいと思ったから」、「趣味を充実させたいと思ったから」、「退職することになったから」等と回答した割合が女性を大きく上回っている。また、女性は「健康・体力面で不安を感じるようになったから」、「交通の便が悪くなったから」、「買い物が不便になったから」等と回答した割合が男性を大きく上回っている(図1-3-21)。
年代別でみると、年代が高くなるほど「健康・体力面で不安を感じるようになったから」と回答した割合が高く、おおむね年代が低くなるほど「生活費を抑えたいから」、「退職することになったから」と回答した割合が高い(図1-3-22)。
(3) 住み替え先として考えている場所
全体でみると、同一市町村内の割合が最も多く、同一都道府県内の他市町村の割合と合わせると、約6割が同一都道府県内での住み替えを考えている(図1-3-23)。
同一市町村内での住み替えの意向を持っている人について、住み替え先において期待することをみると、「買い物が便利なこと」、「交通の便が良いこと」、「医療・福祉施設が充実していること」が上位の回答となっている(図1-3-24)。
現在の居住地と住み替え先として考えている場所との都市規模の関係をみると、同規模の都市への住み替えを考えている層が最も多い(図1-3-25)。
現在の居住地と住み替え先として考えている場所の都市規模別に、住み替えの意向を持つようになった理由をみると、いずれの場合においても、「健康・体力面で不安を感じるようになったから」、「自身の住宅が住みづらいと感じるようになったから」が上位の回答となっている。
上記に加えて、現在の居住地と同規模の都市への住み替えを考えている層は、「生活費を抑えたいから」が上位の回答となっている。
現在の居住地より規模の大きな都市への住み替えを考えている層については、「健康・体力面で不安を感じるようになったから」、「交通の便が悪くなったから」、「買い物が不便になったから」が上位の回答となっている。
一方で、現在の居住地より規模の小さな都市への住み替えを考えている層については、「自然豊かな環境で暮らしたいと思ったから」、「趣味を充実させたいと思ったから」が上位の回答となっている(表1-3-26)。
(%) |
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健康・体力面で不安を感じるようになったから | 自身の住宅が住みづらいと感じるようになったから | 交通の便が悪くなったから | 買い物が不便になったから | 自然豊かな環境で暮らしたいと思ったから | 趣味を充実させたいと思ったから | 生活費を抑えたいから | 自然災害への不安を感じるようになったから | 家族等と同居・近居することになったから | 退職することになったから | ||
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現在の居住地と同程度の 規模の都市への住み替え を希望する層大都市から | 大都市(n=214) | 26.6 | 22.9 | 7.0 | 7.0 | 5.1 | 5.1 | 12.1 | 7.0 | 6.5 | 3.3 |
中都市から中都市(n=200) | 26.0 | 20.0 | 7.0 | 10.0 | 11.0 | 4.0 | 12.0 | 9.5 | 9.0 | 7.5 | |
小都市・町村から小都市・町村(n=43) | 16.3 | 23.3 | 7.0 | 7.0 | 7.0 | 2.3 | 11.6 | 9.3 | 14.0 | 0.0 | |
現在の居住地より規模の 大きな都市への住み替え を希望する層 | 中都市・小都市・町村から大都市(n=94) | 28.7 | 18.1 | 24.5 | 23.4 | 8.5 | 6.4 | 4.3 | 8.5 | 3.2 | 2.1 |
小都市・町村から中都市(n=41) | 26.8 | 19.5 | 24.4 | 19.5 | 4.9 | 2.4 | 12.2 | 17.1 | 9.8 | 0.0 | |
現在の居住地より規模の 小さな都市への住み替え を希望する層 | 大都市から中都市(n=40) | 22.5 | 25.0 | 2.5 | 5.0 | 22.5 | 15.0 | 15.0 | 5.0 | 10.0 | 12.5 |
大都市・中都市から小都市・町村(n=69) | 20.3 | 10.1 | 4.3 | 1.4 | 37.7 | 13.0 | 8.7 | 4.3 | 2.9 | 4.3 | |
資料:内閣府「高齢社会に関する意識調査」(令和5年度) | |||||||||||
(注1)複数回答。 | |||||||||||
(注2)住み替えの意向を持っている人、及び、住み替えの意向がない人のうち最近住み替えたと回答した人に質問。 | |||||||||||
(注3)nは、住み替え先として考えている場所(自由回答)についてののべ回答数。 | |||||||||||
(注4)いずれかの区分で回答割合が10%以上となっている項目のみ掲載している。 | |||||||||||
(注5)「大都市」は東京23区・政令指定都市、「中都市」は大都市を除く人口10万以上の市、「小都市」は人口10万未満の市のことを指す。 |
住み替え先として考えている場所との馴染みの程度について、全体でみると、「住んだことがある場所(実家を除く)」と回答した割合が最も高く、「実家のある場所」と回答した割合は低い。
また、性別でみると、男性は「住んだことはないが、訪れたことがある場所」と回答した割合が女性よりも10ポイント以上高く、女性は「住んだことはないが、家族・知人がいる場所」と回答した割合が男性よりも10ポイント以上高い(図1-3-27)。
住み替え先として考えている住居形態について、持家/賃貸住宅の別でみると、持家に居住している人は、賃貸住宅に居住している人よりも、持家を挙げる割合が高い。一方で、賃貸住宅に居住している人は、持家に居住している人よりも、賃貸住宅を挙げる割合が高い。このように、持家又は賃貸住宅に居住している人については、住み替え先においても現在と同じ住居形態を考えている割合が高い(図1-3-28)。
(4) 住み替えが実現できていない理由
全体でみると、「資金が不足しているから」、次いで、「情報が不足しているから」、「住み替え先に馴染めるか不安があるから」と回答した割合が高い(図1-3-29)。
年代別でみると、おおむね年代が高くなるほど、「健康・体力面で不安を感じるから」、「近くの病院・施設等に通院・通所しているから」、「友人・知人等と疎遠になるから」と回答した割合が高く、おおむね年代が低くなるほど「資金が不足しているから」、「現在の仕事・社会活動を続けられなくなるから」と回答した割合が高い(図1-3-30)。
家族形態別でみると、単身世帯の人は「身元保証等がなく、住宅を借りることができないから」と回答した割合が単身世帯以外の人を大きく上回っているほか、「住み替え先に馴染めるか不安があるから」、「情報が不足しているから」、「友人・知人等と疎遠になるから」等と回答した割合も上回っている。
単身世帯以外の人については、「家族の同意が得られないから」、「家族の介護・看病があるから」等と回答した割合が、単身世帯の人を大きく上回っている(図1-3-31)。
(5) 住み替え先において期待すること
全体でみると、「買い物が便利なこと」が1位、「医療・福祉施設が充実していること」が2位、「交通の便が良いこと」が3位となっている(図1-3-32)。
(6) 住み替えに向けた望ましいサポート
全体でみると、「住み替えにかかる費用の支援」が1位、「情報の提供支援」が2位、「住宅の確保に関する支援」が3位となっている(図1-3-33)。
年代別でみると、60~64歳及び65~69歳は「住宅の確保に関する支援」、70~74歳は「住居の処分に関する支援」、75歳以上は「見守り、買い物など身の回りの生活支援」が3位となっている(表1-3-34)。
住み替えにかかる費用の支援 | 情報の提供支援(住み替え先の物件や支援制度の情報提供等) | 住宅の確保に関する支援(住宅への優先入居等) | 住み替え先での仕事・活動の紹介 | 住居を賃貸する場合等における身元保証・家賃保証等 | 住居の処分に関する支援(賃貸・売却等) | 見守り、買い物など身の回りの生活支援 | 地域活動等の場の充実 | その他 | |
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60~64歳 (総ポイント数:1,069) | 288 | 170 | 155 | 118 | 100 | 92 | 86 | 42 | 18 |
65~69歳 (総ポイント数:847) | 225 | 126 | 121 | 79 | 82 | 96 | 89 | 20 | 9 |
70~74歳 (総ポイント数:932) | 226 | 190 | 120 | 30 | 73 | 122 | 116 | 36 | 19 |
75歳以上 (総ポイント数:1,432) | 312 | 275 | 185 | 42 | 66 | 198 | 245 | 75 | 34 |
資料:内閣府「高齢社会に関する意識調査」(令和5年度) | |||||||||
(注1)住み替えの意向を持っている人のうち、いずれかのサポートを選択した人の回答を掲載。 | |||||||||
(注2)上位3つまでの回答を点数化。 | |||||||||
(注3)横軸(ポイント数)は、以下の計算式により算出。 各選択肢のポイント数=(当該選択肢を1位に選んだ回答者数)×3+(2位に選んだ回答者数)×2+(3位に選んだ回答者数)×1 |
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(注4)総ポイント数は、「無回答」以外の全ての選択肢のポイント数を足し合わせたものである。 |
持家/賃貸住宅の別でみると、持家に居住している人については「住居の処分に関する支援」が3位となっている。一方、賃貸住宅に居住している人については「住宅の確保に関する支援」が2位、「情報の提供支援」が3位となっている(表1-3-35)。
住み替えにかかる費用の支援 | 情報の提供支援(住み替え先の物件や支援制度の情報提供等) | 住居の処分に関する支援(賃貸・売却等) | 見守り、買い物など身の回りの生活支援 | 住宅の確保に関する支援(住宅への優先入居等) | 住み替え先での仕事・活動の紹介 | 住居を賃貸する場合等における身元保証・家賃保証等 | 地域活動等の場の充実 | その他 | |
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持家 (総ポイント数:3,112) | 723 | 580 | 470 | 430 | 408 | 165 | 155 | 132 | 49 |
賃貸住宅 (総ポイント数:1,103) | 318 | 164 | 30 | 100 | 168 | 96 | 162 | 38 | 27 |
資料:内閣府「高齢社会に関する意識調査」(令和5年度) | |||||||||
(注1)住み替えの意向を持っている人のうち、いずれかのサポートを選択した人の回答を掲載。 | |||||||||
(注2)上位3つまでの回答を点数化。 | |||||||||
(注3)横軸(ポイント数)は、以下の計算式により算出。 各選択肢のポイント数=(当該選択肢を1位に選んだ回答者数)×3+(2位に選んだ回答者数)×2+(3位に選んだ回答者数)×1 |
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(注4)総ポイント数は、「無回答」以外の全ての選択肢のポイント数を足し合わせたものである。 |