第3章 令和8年度高齢社会対策(第2節 2)

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第2節 分野別の高齢社会対策(2)

2 健康・福祉

(1) 健康づくりの総合的推進

① 生涯にわたる健康づくりの推進

○ 令和5年5月に告示した「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(令和5年厚生労働省告示第207号)に基づき、健康日本21(第三次)を推進する。健康日本21(第三次)においては、「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」のため、健康寿命の延伸を最終的な目標として、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」、「個人の行動と健康状態の改善」、「社会環境の質の向上」、「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」の4つを基本的な方向として運動を進めていく。

○ 「スマート・ライフ・プロジェクト」を実施する。

○ 市町村が健康増進法に基づき実施している健康教育、健康診査、訪問指導等の健康増進事業について一層の推進を図る。

○ 「こどもまんなか実行計画」を毎年改定し、継続的に施策の点検と見直しを図っていく。

○ 医療保険者による特定健康診査・特定保健指導の着実な実施や、データヘルス計画に沿った取組等、加入者の予防・健康づくりの取組を推進していくとともに、糖尿病を始めとする生活習慣病の重症化予防の先進的な事例の横展開等、中長期的な各般の取組を進めていく。

○ 地域内の体制整備及び運動・スポーツに興味・関心を持ち、習慣化につながる取組を推進する。

○ 多世代交流等の共食の場の提供や栄養バランスに優れた日本型食生活の実践に向けたセミナーの開催等の食育活動を支援するとともに、大人を対象に食や農への理解醸成と行動変容を促す「大人の食育」等の取組を推進する。

○ 高齢受刑者で日常生活に支障がある者の円滑な社会復帰を実現するため、リハビリテーション専門スタッフを配置する。

○ 「かわまちづくり」を推進する。

○ 熱中症対策普及団体の活用等を通じ、高齢者等の熱中症になりやすい方に対する見守りや熱中症予防行動の呼びかけ活動を推進する。

② 介護予防の推進

○ 要介護状態等になることを予防し、要介護状態等になった場合でもできるだけ地域において自立した日常生活を営むことができるよう、市町村における地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防の取組を推進する。

○ 介護予防・日常生活支援総合事業は、多様な生活支援の充実、高齢者の社会参加と地域における支え合い体制づくり、介護予防の推進等を図るものであり、「第9期介護保険事業(支援)計画」の実施に当たり、介護予防の取組を更に推進し、より効果的な取組の展開に資する事業となるよう、研修会の開催等を行い、市町村の取組を支援していく。

(2) 持続可能な介護保険制度と介護サービスの充実

① 地域包括ケアシステム構築の深化・推進

○ 「第9期介護保険事業(支援)計画」に基づき、「地域包括ケアシステム」の深化・推進に向けた取組や、介護人材の確保や介護現場の生産性が向上するような取組を推進する。

○ 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律に基づき、医療介護での情報連携基盤の整備について、検討を進める。

○ 地域医療介護総合確保基金を活用し、各都道府県が策定した事業計画に基づき行われる、在宅医療・介護サービスの提供体制の整備等のために必要な取組への支援を行う。

○ 在宅医療・介護の連携推進に係る事業は、介護保険法の地域支援事業に位置付け、市町村が主体となって地域の医師会等と連携しながら取り組むこととしている。また、在宅医療・介護連携に関する取組の推進・充実を図るために、市町村等職員に対する研修の実施や市町村支援を行う都道府県への支援の充実等を行う。

○ 在宅医療の体制の整備については、都道府県が策定した第8次医療計画を踏まえ、地域の実情に応じた支援を行う。

② 必要な介護サービスの確保

○ 地域包括ケアシステムの実現を目指すため、地域医療介護総合確保基金等を活用し、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の整備を促進するための支援を行う。地域包括ケアシステムの実現に向けた手法として、全国の地方公共団体に「地域ケア会議」の普及・定着を図るため、市町村に対し、「地域ケア会議」の開催に係る費用に対して、財政支援を行う。

○ 地域づくり加速化事業として、市町村の地域づくり促進のための支援パッケージを活用し、有識者による研修実施や、総合事業等に課題を抱える市町村等への伴走的支援を行う。

○ 地域の実情に応じた介護人材確保の取組を支援するため、地域医療介護総合確保基金を活用し、「参入促進」、「資質の向上」及び「労働環境・処遇の改善」に向けた都道府県の取組を支援する。

○ 介護福祉士修学資金等貸付事業の更なる活用促進等に取り組む。

○ 介護職の魅力及び社会的評価の向上や、他業種で働いていた方等が介護職に就職する際の支援、人材育成のための様々な研修受講支援、外国人介護人材の受入環境整備等を行い、介護分野への更なる参入促進に向けた取組を推進する。

○ 介護分野の処遇改善については、これまでの累次の取組に加え、令和7年度補正予算による緊急的な対応や、令和9年度改定を待たずに令和8年度改定における対応を行うこととしており、こうした取組を通じて、他職種と遜色のない処遇改善に向けて取り組んでいく。

○ 「介護雇用管理改善等計画」に基づき、事業所の雇用管理の改善のためのコンサルティングの実施、介護労働者の雇用管理全般に関する雇用管理責任者への講習に加え、事業所の雇用管理改善に係る好事例の公開や助成金の周知等を実施する。

○ 介護に関する専門的な技能を身に付けられるようにするための公的職業訓練について、民間教育訓練実施機関等を活用した職業訓練枠の拡充のため、職場見学・職場体験を組み込むことを要件とした訓練委託費等の上乗せを実施するとともに、全国の主要な公共職業安定所に設置した医療・福祉分野等のマッチング支援を行う「人材確保対策コーナー」において、きめ細かな職業相談・職業紹介、求人充足に向けた助言・指導等の取組の強化を図る。また、「人材確保対策コーナー」を設置していない公共職業安定所においても、医療・福祉分野等の職業相談・職業紹介、求人情報の提供及び「人材確保対策コーナー」の利用勧奨等の支援を実施するとともに、アウトリーチによる医療・福祉分野の事業所への求人充足支援を強化する。

○ 各都道府県に設置されている福祉人材センターにおいて、離職した介護福祉士等からの届出情報を基に、求職者になる前の段階からニーズに沿った求人情報の提供等の支援を推進するとともに、当該センターに配置された専門員が求人事業所と求職者間双方のニーズを的確に把握した上で、マッチングによる円滑な人材参入・定着促進、職業相談、職業紹介等を推進する。

○ 介護職員初任者研修を各都道府県において実施する。

○ 11月11日の「介護の日」に合わせ、介護のしごと魅力発信等事業や各都道府県における取組について、厚生労働省のホームページに掲載するなど、介護に関し、国民への啓発のための取組を重点的に実施する。

○ 介護職員の働く環境改善を推進することを目的とした「介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰及び厚生労働大臣表彰」を実施するほか、表彰受賞事業所の取組事例集を作成し周知を行う。

○ 働く家族介護者の負担軽減の観点において、民間事業者等と連携し、介護需要の多様な受皿のモデル提示や、介護保険外サービスの信頼確保のための環境整備を進める。

③ 介護サービスの質の向上

○ 介護保険制度の運営の要であるケアマネジャーの資質の向上を図るため、実務研修及び現任者に対する研修を体系的に実施する。

○ 高齢者の尊厳の保持を図る観点から、地方公共団体と連携し、地域住民への普及啓発や関係機関への研修等を進める等、高齢者虐待の未然防止、悪化防止、再発防止等に向けた取組を推進していく。

○ 一定の研修を受けた介護職員等は、一定の条件の下に喀かく痰たん吸引等の行為を実施できることとなっており、各都道府県と連携の下、研修等の実施を推進し、サービスの確保、向上を図っていく。

④ 仕事と介護の両立支援

ア 仕事と介護の両立支援制度の推進

○ 介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の強化等を内容とした改正育児・介護休業法について、都道府県労働局において制度の内容を周知するとともに、企業において同法の履行確保が図られるよう事業主に対して指導等を行う。

イ 仕事と介護を両立しやすい職場環境整備

○ 仕事と介護の両立支援制度について周知するとともに、全国各地での企業向けセミナーの開催や仕事と家庭の両立支援プランナーによる個別支援を通じて、「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」及び「仕事と介護の両立支援プラン」の普及促進を図り、労働者の仕事と介護の両立を支援することにより、継続就業を促進する。

○ 介護に直面する労働者に対して、「仕事と介護の両立支援プラン」の策定を伴う円滑な介護休業の取得・職場復帰や介護両立支援制度等の利用を通じた就業継続支援等を行う中小企業事業主へ助成金を支給することにより、企業の積極的な取組の促進を図る。

○ 「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」の普及を進めるとともに、企業の経営層が両立支援の知見を共有できる仕組みづくりや、地域の中で中小企業の両立支援を支えるモデル構築・普及等を行う。

(3) 持続可能な高齢者医療制度の運営

○ 「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」を推進するため、後期高齢者医療広域連合から市町村へ高齢者保健事業を委託し、①事業全体のコーディネートや企画調整・分析等を行う医療専門職、②高齢者に対する個別的支援や通いの場等への関与等を行う医療専門職を配置する費用等を、国が後期高齢者医療調整交付金のうち特別調整交付金により支援する。

○ 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の全国的な横展開事業等を通じて、高齢者保健事業の推進を支援する。

○ 高齢者の窓口負担割合の在り方について、「「強い経済」を実現する総合経済対策」において、令和7年度中に具体的な骨子について合意し、令和8年度中に具体的な制度設計を行い、順次実施することとされている。

○ 金融所得のうち上場株式の配当などは、確定申告の有無により保険料・窓口負担等が変わる不公平が発生していることから是正が必要であり、「「強い経済」を実現する総合経済対策」等に基づき、上場株式の配当等の金融所得を保険料の算定や窓口負担割合等の判定に公平に反映するための法案を提出したところであり、今後、必要な対応を進めていく。

(4) 認知症施策の総合的かつ計画的な推進

○ 国の認知症基本計画を踏まえ、地方公共団体における計画の策定を支援していくとともに、認知症の人と家族等の地域での居場所づくりを推進し、多様な社会参加の機会を確保するなど、共生社会の実現に向けて、認知症に関する取組を進めていく。

(5) がん対策の推進

○ 高齢期の主要な死因であるがんに関しては、「がん対策推進基本計画」に基づき、がん検診の受診率向上に向けた取組や医療提供体制の整備、療養環境への支援等、総合的な対策に取り組む。

○ がん研究については、「がん研究10か年戦略(第5次)」を踏まえ、「がん対策推進基本計画」に明記されている政策課題の解決に向けた政策提言に資する調査研究等に加えて、「がんの予防」に関する研究、「がんの診断・治療」に関する研究、「がんとの共生」に資する研究、ライフステージやがんの特性に着目した研究、がんの予防、がんの診断・治療の開発、がんとの共生を促進するための分野横断的な研究を5つの柱として、がんに関する基礎から実用化までの一貫した研究開発を推進する。

(6) 人生の最終段階における医療・ケアの体制整備

○ 人生の最終段階における医療・ケア体制整備事業として、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づき、全国の医療・介護従事者等に向けて、研修を行う。

○ 本人が望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組である人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)の更なる普及・啓発を図る。

(7) 身寄りのない高齢者への支援

○ 望まない孤独や社会的孤立に陥ることを防ぐため、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの設置に向けた伴走支援等の実施により、地域の多様な団体が連携して支援する環境整備に取り組み、日常生活での緩やかなつながりづくりや居場所づくりを推進する。また、地域の関係機関が身寄りのない高齢者を円滑に支援するためのガイドラインの作成や相互のネットワークの構築等について、都道府県・市区町村における取組事例を収集し、情報提供を行うこと等により、取組を促進する。

○ 「社会保障審議会福祉部会報告書」で示された対応の方向性を踏まえ、日常生活自立支援事業の枠組みの中で、頼れる身寄りがいない高齢者等に対して、安否確認等のための定期的な見守りを行うとともに、試行的な取組として、入院・入所等の手続支援や死後事務の支援を行う。

○ 「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の周知・徹底に努める。

○ 令和8年2月に法制審議会から法務大臣にされた答申に基づき、遺言制度の見直し等を内容とする民法等の改正を行う法案を国会に提出し、成立を目指す。

(8) 支援を必要とする高齢者等を地域で支える仕組みづくりの促進

ア 地域の支え合いによる生活支援の推進

○ 生活困窮者支援等のための地域づくり事業等を通じて、地域住民のニーズ・生活課題の把握、住民主体の活動支援・情報発信、地域コミュニティを形成する居場所づくり、多様な担い手が連携する仕組みづくりなどの取組を進め、身近な地域における共助の取組を活性化させることで、地域福祉の推進を図る。

○ 寄り添い型相談支援事業を実施する。

○ 地域共生社会の実現に向けて、市町村において包括的な支援体制を整備するため、市町村に対して支援を行うこと等により、地域における取組等を推進する。

○ かかりつけ医等と医療保険者が協働し、加入者の健康面や社会生活面の課題に対する保健指導の実施や地域の相談援助等の活用に加え、周知啓発等の取組が推進されるよう、保険者協議会の取組を支援する。

イ 地域福祉計画の策定の支援

○ 福祉の各分野における共通して取り組むべき事項や福祉サービスの適切な利用の推進、社会福祉を目的とする事業の健全な発達、地域福祉活動への住民参加の促進、要援護者に係る情報の把握・共有・安否確認等の方法等を盛り込んだ地域福祉計画の策定の支援を行う。

ウ 地域における高齢者の安心な暮らしの実現

○ 「地域ケア会議」の取組や、ICTの活用による在宅での生活支援ツールの整備等を進め、地域に暮らす高齢者が自らの希望するサービスを受けることができる社会の構築に資する取組を進める。

○ 市町村が実施する地域支援事業を推進し、市町村に生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置することに加え、住民参画・官民連携推進事業により地域住民の活動に地域の多様な主体が関わることを促進するほか、国や都道府県における生活支援体制整備に係るプラットフォームによる市町村支援などにより、高齢者の日常生活を地域で支える体制の整備を推進する。

○ 新たなシニア向けサービスの需要の創出、高齢者の起業や雇用の促進、高齢者が有する技術・知識等の次世代への継承等の好循環を可能とする環境を整備していく。

(9) 加齢による難聴等への対応

○ 令和6年度末に改訂した「難聴高齢者の早期発見・早期介入等に向けた取組実施のための手引き(第2版)」を地方公共団体へ周知するとともに、地方公共団体による難聴高齢者の早期発見等に関する取組の促進を図る。

○ 補聴器については、その購入に際して消費者トラブルが報告されていることを踏まえ、質の高い補聴器販売者の養成等を図る取組を推進する。

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