交通事故の被害・損失の経済的分析に関する調査研究結果について
平成19年3月
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付
交通安全対策担当
1.本調査研究について
- 平成7・8年度、平成13年度に続く、3回目の調査研究
- 道路交通事故による損失について国民の意識を高めるとともに、交通安全対策におけるより効果的・効率的な政策決定や資源配分に資することを目的として実施
- 学識経験者や関係団体・関係行政機関の担当者からなる検討会(別添1参照)において、調査の範囲や手法、分析の妥当性などを検討
2.今回の調査研究のポイント
- 従来の金銭的損失の分析に加え、交通事故による痛み、苦しみ、生活の喜びを享受できなくなることなどの非金銭的な「死亡損失」についても分析
- 死亡損失の分析には、人々の支払意思額(Willingness To Pay: WTP)を基に現在の交通事故による損失を推計する手法を採用
- 死亡・後遺障害・傷害別に被害者1名当たりの損失額も算定
- 支払意思額(Willingness To Pay: WTP)
- 交通事故による死亡リスクを減少させる交通安全対策に対し人々が最大限支払ってもよいと考える額(別添2参考資料参照)
3.調査研究結果
損失の算定範囲は以下のとおり。
損失の種別 | 算定費目 | |
---|---|---|
金銭的損失 | 人的損失 | 逸失利益、治療関係費、慰謝料、休業損失等 |
物的損失 | 車両、構築物の修理、修繕、弁償費用 | |
事業主体の損失 | 死亡、後遺障害、休業等による付加価値額低下 | |
各種公的機関等の損失 | 救急搬送費、警察の事故処理費用、裁判費用、訴訟追行費用、検察費用、矯正費用、保険運営費、被害者救済費用、社会福祉費用、救急医療体制整備費、渋滞の損失 | |
非金銭的損失 | 死亡損失 | 交通事故による死亡リスク削減に対する支払意思額 |
平成16年(度)の損失額は約6兆7千億円、GDP比で1.4%。
- <損失額の内訳>
- 死亡損失 2兆3千億円(35%)
- 金銭的損失 4兆4千億円(65%)
- うち
- 人的損失 1兆5千億円(22%)
- 物的損失 1兆8千億円(26%)
- 事業主体の損失 1千億円(1%)
- 各種公的機関等の損失 1兆1千億円(16%)
交通事故による損失額6兆7,450億円(単位:十億円)
死亡、後遺障害、傷害による1名当たりの損失額に換算すると、それぞれ、2億6千万円、970万円、180万円。
死亡2億5,917万円(単位:千円)
後遺障害965万円(単位:千円)
傷害177万円(単位:千円)
死亡による1名当たりの損失額は、フィンランド、英国、スウェーデンとほぼ同水準。
アメリカ | フィンランド | 英国 | スウェーデン | ニュージーランド | ドイツ | オーストラリア | 日本 | |
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総額(千円) | 413,411 | 289,966 | 274,119 | 252,761 | 229,880 | 176,796 | 174,756 | 259,165 |