平成14年版 交通安全白書 概要
2 現況編の概要 第1編 陸上交通 第2部 鉄軌道交通
平成14年度交通安全白書概要
2 現況編の概要
第1編 陸上交通
第2部 鉄軌道交通
1 鉄軌道交通事故の動向
- 踏切事故防止対策の推進,各種の運転保安設備の整備・充実、制御装置の改善、乗務員等の資質の向上など総合的な安全対策を実施してきた結果、運転事故*は、長期にわたり減少傾向が続いており、平成13年の運転事故件数は908件、運転事故による死傷者696人(うち死亡者314人)であった。
*運転事故とは、列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故(踏切道において、列車が人や車両等と衝突、接触する事故)、道路障害事故(踏切道以外の道路において、列車が人や車両等と衝突、接触する事故)、鉄道人身事故(人の死傷を生じた事故で前記以外のもの)及び鉄道物損事故(500万円以上の物損を生じた事故で前記以外のもの)をいう。
- 運転事故の種類別の発生件数では、踏切障害475件(52.3%)、人身障害306件(33.7%)、道路障害95件(10.5%)となっている。
- 踏切事故(479件)は運転事故の約半数を占めているが、長期的には減少傾向にある。
鉄軌道運転事故の件数と死傷者数の推移
(参考)
平成14年2月22日、JR九州鹿児島本線海老津駅~教育大前駅間において、イノシシと衝突し停車していた普通列車に、赤信号で一旦停止し無閉そく運転を開始した後続の快速列車が衝突して134名が負傷する事故が発生した。詳細な事故原因については調査中ではあるが、この事故を踏まえ、一層の安全の確保を図るよう全国の鉄道事業者に対し指導を行っている。
2 平成13年度の主な鉄軌道交通安全施策
- (1)鉄軌道交通環境の整備
- 線路施設、運転保安設備等の整備
線路施設、信号保安設備等の整備、自動列車停止装置(ATS)の高機能化等を推進した。
また、高齢者、身体障害者等の安全利用のために、鉄道駅等のバリアフリー化を推進した。 - 保安監査等の実施
施設、車両、安全管理体制等についての保安監査を効果的かつ機動的に実施するとともに、プラットホームからの転落事故に対して適切な安全対策を講ずるよう鉄軌道事業者を指導した。 - (2)踏切事故防止対策
- 平成13年3月に改正された踏切道改良促進法及び平成13年度を初年度とする第7次踏切事故防止総合対策に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良及び保安設備の整備を促進している。また、踏切道の統廃合についても併せて実施している。
- (3)鉄軌道の運転事故原因究明のための体制の整備
- 鉄軌道事故調査機関の設置
鉄道については、国の組織として常設・専門の事故調査機関が設置されていなかったが、営団日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故等を背景に、鉄道の安全確保に対する国民の期待が一層高まり、その体制整備が強く求められていたことから、鉄道事故の原因を究明するための適確な調査及び鉄道事故の兆候(重大インシデント)についての調査を行うため、平成13年10月1日に従来の「航空事故調査委員会」が改組され、「航空・鉄道事故調査委員会」が発足した。 - 鉄道の運転事故等に係る報告制度の改善
運転事故等の情報をより迅速かつ的確に把握し、運転事故・運転事故が発生するおそれがあると認められる事態等を調査・分析するための体制を整備するため、運転事故等の報告内容の充実及び事故速報の対象範囲等を見直し、鉄道事故等報告規則等の改正を行った。