2 現況編の概要
第1編 陸上交通
第2部 鉄軌道交通
1 鉄軌道交通事故の動向
平成15年度交通安全白書概要
2 現況編の概要
第1編 陸上交通
第2部 鉄軌道交通
1 鉄軌道交通事故の動向
- 踏切事故防止対策の推進,各種の運転保安設備の整備・充実、制御装置の改善、乗務員等の資質の向上など総合的な安全対策を実施してきた結果、運転事故*は、長期にわたり減少傾向にあり、平成14年の運転事故件数は851件となっている。
* 運転事故とは、列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故(踏切道において、列車が人や車両等と衝突、接触する事故)、道路障害事故(踏切道以外の道路において、列車が人や車両等と衝突、接触する事故)、鉄道人身事故(人の死傷を生じた事故で前記以外のもの)及び鉄道物損事故(500万円以上の物損を生じた事故で前記以外のもの)をいう。
- 運転事故による死傷者数は819人(うち死亡者344人)と前年比15.0%増となっている。
- 踏切事故は448件と運転事故の約半数を占めているが、長期的には減少傾向にある。
- 平成14年中の重大事故は、2月22日に発生したJR九州の列車衝突事故と9月26日に発生した名古屋鉄道の列車脱線事故の2件である。
2 平成14年度の主な鉄軌道交通安全施策
- 鉄軌道交通環境の整備
- 線路施設、運転保安設備等の整備
地方中小鉄道の安全輸送を確保するため、トンネルや橋りょう等の鉄道施設等の現状を総点検し、安全性の観点から評価する事業を実施している。
また、列車運行の安全確保を図るため、列車集中制御装置(CTC)等の整備を促進するとともに、自動列車停止装置(ATS)未設置路線におけるATSの整備を推進している。 - 保安監査等の実施
プラットホームからの転落事故に対して安全対策を講ずるよう鉄軌道事業者を指導した。また、平成14年2月にJR鹿児島線で発生した列車衝突事故を踏まえた無閉そく運転時の安全対策について、また、同年11月の列車と接触し負傷した中学生を救助するため、線路内に立ち入った消防隊員が後続列車と接触し死傷するという事故を踏まえた鉄道災害発生時の緊急体制の再確認と二次災害防止のための安全管理の徹底についても指導した。
- 線路施設、運転保安設備等の整備
地方中小鉄道の安全輸送を確保するため、トンネルや橋りょう等の鉄道施設等の現状を総点検し、安全性の観点から評価する事業を実施している。
- 鉄道事故原因の究明及び未然防止対策の推進
- 航空・鉄道事故調査委員会(平成13年10月1日改組)は、鉄道事故及び鉄道事故の兆候(重大インシデント)を総合的に解析して報告書を作成し、公表している。
また、鉄道事故等報告規則等に基づいて報告される鉄道事故等の情報を収集整理し、鉄軌道事業者等の関係者で共有することにより、事故の未然防止を図っている。
- 航空・鉄道事故調査委員会(平成13年10月1日改組)は、鉄道事故及び鉄道事故の兆候(重大インシデント)を総合的に解析して報告書を作成し、公表している。
- 踏切事故防止対策
- 踏切道の改良については、踏切道改良促進法(昭36法195)及び第7次踏切事故防止総合対策に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良及び保安設備の整備を推進している。
同法により改良すべき踏切道として、平成13年度末までに踏切道の立体交差化2,099箇所、構造改良3,893箇所及び保安設備の整備2万7,613箇所を指定し、その改良を促進している。また、踏切道の統廃合についても併せて実施している。
- 踏切道の改良については、踏切道改良促進法(昭36法195)及び第7次踏切事故防止総合対策に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良及び保安設備の整備を推進している。