2 現況編の概要
第2編 海上交通
1 海難等の動向
平成15年度交通安全白書概要
2 現況編の概要
第2編 海上交通
1 海難等の動向
- 平成14年中の海難等及び海難救助の状況
- 海難船舶数は2,837隻であった。うち977隻の自力入港を除く1,860隻中、1,625 隻を救助した。また、海難船舶乗船者1万6,274人のうち、1万874人の自力救助を除く5,400人中、5,217人を救助した。
- 海難による死亡・行方不明者数は183人、船舶からの海中転落による死亡・行方不明者数は138人であった。
- 平成14年中の海難等の特徴
- 近年のマリンレジャー活動の活発化に伴い、プレジャーボート等の海難が増加しており、1,136隻と前年に比べ132隻減少したものの、海難船舶隻数全体の40%を占めている。
- 海難による死亡・行方不明者数、船舶からの海中転落による死亡・行方不明者数ともに漁船によるものが最も多く、それぞれ全体の53%、59%を占めている。
2 平成14年度の主な海上交通安全施策
- 海上交通環境の整備
- 第9次港湾整備七箇年計画(平成8~14年)に基づき、開発保全航路、港湾等の整備、港湾の耐震性の強化を行った。また、漁港漁場整備長期計画(平成14~18年度)に基づき、外郭施設等の整備を通じて漁船の安全の確保を図った。
- 船舶交通のふくそうする海域においては、航路航行義務等特別の交通ルール等を定めるとともに、海上交通に関する情報提供と航行管制を一元的に行うシステムである海上交通情報機構等の整備・運用を行った。このほか、東京湾口航路整備事業等、船舶航行の安全性と海上輸送の効率性を両立させた海上交通環境である海上ハイウェイネットワークを構築するための整備等を行った。
- 海上交通の安全に関する知識の普及
- 平成14年4月1日から海図の緯度・経度が日本測地系から世界測地系へ変更となり、乗揚げ海難等が発生する危険性が高まったことから、平成14年度全国海難防止強調運動においては「船位確認の徹底~世界測地系海図の適正な使用~」を重点事項として定め、運動を実施した。
- 船舶の安全性の確保
- 海上人命安全条約(SOLAS条約)において、船舶の航行の安全に係る技術革新等に対応した船舶自動識別装置(AIS)の搭載を始めとする船舶の航海設備等に関する安全基準の大幅な見直しが行われ、平成14年7月に発効し、我が国も国内法の整備を行うとともに、船舶検査体制の充実に努めた。
- 国際海事機関(IMO)において、ダブルハル(二重船殻)タンカーの建造を促進することを内容とする海洋汚染防止条約(MARPOL条約)の改正が行われ、平成14年9月に発効し、我が国も国内法の整備を行った。
- 国際安全管理規則(ISMコード)が平成14年7月から完全適用になったことから、制度の円滑な実施体制の整備等を図るとともに、外国船舶の監督(PSC)を重点・強化した。
- 各種船舶等の安全対策の充実
- 漁船等を除く総トン数20トン未満の船舶(以下「小型船舶」という。)を対象に、小型船舶の所有権の公証のための登録に関する制度等について定め、小型船舶の所有者の利便性の向上を図るとともに、小型船舶の放置艇対策を目的とした小型船舶の登録等に関する法律(平成13年法102)が平成14年4月から施行された。
- マリンレジャー愛好者に救命胴衣着用の必要性を訴えるため、シンボルマーク(「ウクゾウ」くん)を決定した。
- 小型船舶の利用者ニーズ等に応えるとともに、小型船舶の航行の安全を図るため、資格区分の再編成、小型船舶の船長が遵守すべき事項の明確化等を内容とした船舶職員法の一部を改正する法律が平成14年6月に公布(平成15年6月施行)された。
- プレジャーボート利用者が、自己責任意識及び安全意識をもってクルージングできる環境整備を進める海道の旅(マリンロード)構想について、東京湾及び周辺海域においてモデル事業を行った。
- 救助・救急体制の整備
- 海上で発生した傷病者の救助に迅速・適切に対応するため、ヘリコプターに同乗し、つり上げ救助、潜水作業及び救急救命処置等を行う機動救難士を福岡航空基地に配置し、人命救助即応体制の充実・強化を図った。また、海難及び船舶からの海中転落により死亡・行方不明者を減少させるために、救命胴衣の常時着用、携帯電話等の連絡手段の確保、緊急通報用電話番号「118号」の有効活用を基本とする自己救命策確保キャンペーンを強力に推進した。