I 現況の概要
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
1 鉄道交通環境の整備
●運転保安設備の整備
JR西日本福知山線列車脱線事故を踏まえて改正した技術基準に基づき,曲線,分岐器,線路終端,その他重大な事故を起こすおそれのある箇所への自動列車停止装置(ATS)等の整備促進を図った。
●鉄道の地震対策の強化
阪神・淡路大震災及び東日本大震災を踏まえ,また,防災・減災対策の強化が喫緊の課題となっている首都直下地震・南海トラフ地震等に備えて,より多くの鉄道利用者の安全確保や,一時避難場所や緊急輸送道路の確保等の公共的機能も考慮し,主要駅や高架橋等の耐震対策の促進を図った。
2 鉄道交通の安全に関する知識の普及
踏切事故防止について,ポスターの掲示等によるキャンペーンを実施し,学校,沿線住民,道路運送事業者等に対し,踏切道の安全通行や鉄道事故防止に関する知識の普及及び意識の高揚を図った。
また,鉄道の安全利用に関する手引きや児童等を対象とした鉄道利用に係る安全教育を効果的に行うための教材を活用して,鉄道事業者等に事故防止を図るよう促した。
3 鉄道の安全な運行の確保
●運転士の資質の保持
動力車操縦者の資質の確保を図るため,動力車操縦者運転免許試験を適正に実施した。また,乗務員の資質が保持されるよう,運転管理者が教育等について適切に措置を講ずるよう指導した。
●リスク情報の分析・活用
重大な列車事故を未然に防止するため,リスク情報を関係者間において共有できるよう,インシデント等の情報収集を行っている。さらに,国への報告対象となっていないリスク情報について,鉄道事業者による情報共有化を図っている。
●運輸安全マネジメント制度の充実
平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により,事業者が経営トップの主体的な関与の下,現場を含む組織が一丸となって安全管理体制を構築し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を平成25年12月末までに延べ1,020社に対して実施し,昨年に比べ90回増加した。
●大規模な事故等が発生した場合の適切な対応
国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。
また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,乗客への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。
さらに,東日本大震災における,津波発生時の避難誘導などの状況を検証するとともに,南海トラフ巨大地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめ,鉄道事業者における取組を推進している。