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小型船舶の安全対策について

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漁船やプレジャーボートなどの小型船舶による海難が,海難全体の約8割を占めており,小型船舶の事故やそれらの事故に伴う死亡・行方不明を防止することが重要であることから,以下のような安全対策に取り組んでいるところである。

(1) 発航前の検査義務,見張りの実施義務違反の違反点数化

小型船舶事故隻数のうち,小型船舶操縦者の遵守事項である「発航前の検査」及び「見張りの実施」で防げる事故が約3分の1を占めるという事情に鑑み,遵守事項に対する意識の高揚を図るため,国土交通省は平成28年7月1日,船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則を以下のとおり改正した。

<1>  「発航前の検査義務」及び「見張りの実施義務」について,当該遵守事項の違反者に対し,新たに違反点数を付す。

<2> 従来,違反点数が処分基準に達した場合にのみ発出していた再教育講習受講通知を,違反点数を付された全ての遵守事項違反者に対して発出する。

(2) ライフジャケットの着用義務範囲の拡大

我が国の周辺では,漁船やプレジャーボートなどの小型船舶からの海中転落によって,毎年約80人が命を落としている。海中転落による死亡・行方不明を防止するため,国土交通省は平成29年2月1日,船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則を改正した。これまでは「12歳未満の小児」,「水上オートバイの乗船者」,「1人乗り漁船で漁ろう中の者」のみにライフジャケットの着用義務を課していたが,平成30年2月1日から,原則として船室外のすべての乗船者に義務化することとした。

ライフジャケットの着用義務範囲

(3) スマートフォンを活用した船舶事故の防止

近年,船舶の接近を警告する機能や,危険海域の接近を警告する機能を持つスマートフォンアプリが民間企業や学校において開発されている。国土交通省は平成29年3月,こうしたアプリを普及させ,小型船舶の事故を未然に防止することを目的として,アプリの安全要件を策定した。スマートフォンアプリは手軽に利用できることに加え,設備費用がかからないという特徴があるため,小型船舶ユーザーへの広い普及が期待される。

スマートフォンを活用した船舶事故の防止

(4) 海上保安庁における水上オートバイ事故への安全対策

近年,死傷者を伴う水上オートバイの事故が目立っており,平成28年7月には,2人乗りをしていた水上オートバイの後部座席の同乗者が,急発進の際に海中へ落水し,水上オートバイから噴き出す「ジェット噴流」という高い水圧の海水により,腸を損傷する事故が発生している。このような水上オートバイ乗船中の噴射流による事故は過去5年間において11件発生しているが,操船者の加速時の声かけや乗船者のウェットスーツ着用により防止することができる事故である。

同種事故の発生が繰りかえされぬよう,リーフレットやSNSにより海の安全情報を発出するなどして,周知活動を展開している。

水上オートバイによる事故隻数及び死傷者数の推移
リーフレット
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