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船舶津波避難マニュアル普及に向けた更なる取組について
1 船舶津波避難マニュアル
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では大津波により,およそ3万6千隻もの船舶が被災した。また,南海トラフ地震の今後30年以内の地震発生確率は70%と見込まれている(文部科学省地震調査研究推進本部(平成24年1月1日現在))。これらを踏まえ,平時から船舶運航事業者において津波防災対策を行うことが重要である。
国土交通省は,上記を踏まえ,船舶運航事業者における「津波避難マニュアル」作成促進に取り組んでいる。「津波避難マニュアル」とは,津波の襲来を事前に想定し,船舶をどのように避難させるかを整理してまとめたもので,あらかじめ船舶ごとに作成しておき,船長が避難方法を判断するために活用するマニュアルである。
これまでの船舶運航事業者における「津波避難マニュアル」作成促進の取組としてマニュアルに必要な情報やその入手方法,津波発生時の船舶の対応フロー等を収録した「船舶津波避難マニュアル作成の手引書」を作成し,平成26年3月に公表した。さらに,事業者におけるマニュアル作成の負担を軽減するために必要事項を記入するだけで津波避難マニュアルを作成できる「モデル的マニュアル(簡易マニュアル様式)」を作成し,27年6月に公表した。また,説明会等の場において,津波避難マニュアルの周知を行うと共に作成したマニュアルに基づく津波避難訓練の実施及びマニュアルの見直しを呼びかけてきた。
2 平成28年度の取組
国土交通省は,船舶運航事業者における津波避難マニュアル作成促進に向けた更なる取組として,マニュアル作成が困難な中小規模事業者がより容易に津波対策を実施できるよう津波避難に必要な主要ポイントだけを選定した新たなマニュアル様式「津波対応シート」を策定し7月に公表した。さらに,東日本大震災において多くの被害を受けた外国船舶においても津波対応を円滑に実施できるよう「津波対応シート」の外国語版を策定し9月に公表した。
また,平成27年度に引き続き,全国において説明会等を開催し,「津波避難マニュアル」及び「津波対応シート」の周知を行うと共に,作成したマニュアルに基づく津波避難訓練の実施及びマニュアルの見直しを呼びかけた。
3 これからの取組
引き続き,事業者における津波防災意識の向上と津波避難マニュアルへの理解及び作成を促進し,船舶津波避難対策を推進していく。特に,2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを踏まえ「津波対応シート」の外国語版を,日本に寄港する外国船舶に対して周知するため,船舶代理店を通じ,働きかけていく。
また,事業者及び船舶代理店に対する説明会等を実施し,「船舶津波避難マニュアル」及び「津波対応シート」の周知と共に,津波避難訓練の実施を呼びかけていく。
さらに,訓練の結果を踏まえ,津波避難マニュアルを定期的に見直すことの意識付けを促し,作成されたマニュアルの実効性を高めていく。