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波浪予想図の改善
~三角波などの大波の発生しやすい海域の情報を追加~
船舶にとっては,単に波の高さが大きい時のほかにも,海面状況が複雑になったり変化が激しくなったりする海域では,航行や海上作業に支障が出るのみならず,時には非常に危険となることがある。一般に,複数の方向から来る波が存在すると,単一の波の場合よりも海面の状況が複雑かつ不規則になって,三角波などのいわゆる「一発大波」が発生しやすくなる。また,波と逆向きの海流があると,波の波高は高く波長は短く変調されるため,海面の変化が激しくなり船の揺れが大きくなる。
このため,気象庁では,波浪モデルの予測結果等を活用し,このような海域を特定する手法の開発を進めてきた。その手法が確立できたことから,平成29年3月7日より,気象無線模写通報(JMH)で提供している波浪予想図にこれらの海域に関する情報を追加した。上で述べた二つの種類の海域(複数方向からの波が存在する海域,波と逆向きの海流が存在する海域)の特性や影響を受ける船の大きさ等を考慮し,外洋波浪図と沿岸波浪図にそれぞれ以下の情報を追加した。
・外洋波浪図
有義波高が1.8m以上の海域で,二つ以上の波が存在して海面が複雑になる海域。それぞれの波の情報も追加する。
・沿岸波浪図
波と逆向きの海流により,波高が5%以上増大する海域。波長も短くなるため,海面の変化が激しくなり,特に小型の船舶には影響がでる。
「荒れた海域」の情報を追加した新しい波浪予想図の例
(左) 外洋波浪予想図(FWPN)には,二つ以上の波が存在して複雑になる領域を横ハッチでマークし,それぞれの波情報(波向,周期,波高)を表示。波向は,波高の大きいものを長い矢印で示し,数値は,周期[秒]/波高[m]を表す。
(右) 沿岸波浪予想図(FWJP)には,波と逆向きの流れで波高が5%以上増大し変化が激しくなる領域を縦ハッチでマーク。
外洋/沿岸波浪予想図は,下記の気象庁ウェブサイトでご覧いただけます。
○http://www.data.jma.go.jp/gmd/waveinf/chart/fwpn.html
○http://www.data.jma.go.jp/gmd/waveinf/chart/fwjp.html