特集 「先端技術を活用した交通安全の取組」
III 交通事故の無い社会を目指して
III 交通事故の無い社会を目指して
本特集では,近年の交通事故の特徴と課題,先端技術への期待を記述した後,5つの柱に沿って先端技術の現状を紹介した。自動走行の実用化に向けたロードマップや,既に実用化等されている,運転者の危険認知の遅れや運転操作の誤りによる事故を未然に防止するための安全運転支援システム,また,交通事故が発生した際に,いち早く救助・救急を行うためのシステムといった先端技術や情報を活用した取組などである。これらの他にも多様な技術により,道路交通の安全は支えられており,官民が連携し,交通事故抑止に資する先端技術の開発,普及や情報の効果的な活用を図ってきている。
一方で,いかに優れた技術を新たに開発・導入しても,利用する側がその技術を正しく理解し,適切に利用しなければ,それらの本来の効果は期待できない。社会全体による交通安全に資する先端技術の進展に係るリテラシーの向上が不可欠である。
世界一安全な道路交通を実現するために,先端技術や情報の効果的な活用,また,国民がそれらの技術を正しく理解し,安全に利用するための安全教育や普及・啓発が一層重要となる。
情報通信や人工知能等の科学技術は,日進月歩で発展を続けている。今後,更なる技術の進展が期待される中,新たな技術の的確な導入・活用を進めるとともに,新しい技術の導入過程における安全の確保や新たな課題への対応を図りつつ,交通安全対策の取組を強力に推進していく。