I 現況の概要 第1編 陸上交通 第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況

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第1編 陸上交通

第2部 鉄道交通

第2章 鉄道交通安全施策の現況

1 鉄道交通環境の整備
運転保安設備等の整備

曲線部等への速度制限機能付きATS等,運転士異常時列車停止装置,運転状況記録装置等について法令により整備の期限が定められたものの整備については,平成28年6月までに完了したが,整備の期限が定められていないものの整備については引き続き推進した。

※1時間あたりの最高運行本数が往復10本以上の線区の施設又はその線区を走行する車両若しくは運転速度が100km/hを超える車両又はその車両が走行する線区の施設について10年以内に整備するよう義務付けられたもの。

鉄道施設の地震対策の強化

首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模地震に備え,より多くの鉄道利用者の安全確保や,一時避難場所としての機能の確保等を図るため,主要駅や高架橋等の耐震対策を推進した。

駅ホームにおける安全性向上のための対策の強化

駅ホームにおける転落防止対策は,「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」中間取りまとめ(平成28年12月)に基づき,ハード・ソフト一体的に進めているところである。具体的には,ハード対策として,ホームドア内方線付き点状ブロックの整備の加速化を図るほか,ソフト対策として,駅員による誘導案内の充実や旅客による声かけの促進を図ることとしている。

平成29年7月には同検討会の第7回を開催し,各鉄道事業者の進捗状況を確認した。ハード面では,ホームドアの設置駅数が29年3月末現在で686駅,32年度末に882駅となる見込みであり,交通政策基本計画の目標(32年度に約800駅)を前倒しして達成する見込みであることが確認できた。ソフト面では,視覚障害者が参画した研修等を実施する取組が倍増するとともに,国主催の声かけ・見守りキャンペーンに加え鉄道事業者等も独自にキャンペーンを実施するなど充実が図られていることが確認できた。

2 鉄道交通の安全に関する知識の普及

踏切事故防止について,ポスターの掲示等によるキャンペーンを実施し,学校,沿線住民,道路運送事業者等に対し,踏切道の安全通行や鉄道事故防止に関する知識の普及及び意識の高揚を図った。

また,鉄道の安全利用に関する手引きを活用して,鉄道事業者等に事故防止を図るよう促した。

3 鉄道の安全な運行の確保
運転士の資質の保持

動力車操縦者の資質の確保を図るため,動力車操縦者運転免許試験を適正に実施した。また,乗務員の資質が保持されるよう,運転管理者が教育等について適切に措置を講ずるよう指導した。

安全上のトラブル情報の共有・活用

主要な鉄道事業者の安全担当者等による鉄道保安連絡会議を開催し,事故等及びその再発防止対策に関する情報共有等を行うとともに,安全上のトラブル情報を関係者間に共有できるよう,情報を収集し,速やかに鉄道事業者へ周知している。さらに,国への報告対象となっていない安全上のトラブル情報について,鉄道事業者による情報共有化を図っている。

大規模な事故等が発生した場合の適切な対応

国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。

また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,乗客への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。

さらに,鉄道の津波対策については,南海トラフ沿いの大規模地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめており,鉄道事業者における取組を推進している。

運輸安全マネジメント制度の充実

平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により,事業者が社内一丸となった安全管理体制を構築・改善し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を,29年において55者に対して実施した。

4 踏切道における交通の安全についての対策
踏切事故防止対策の現状

踏切道の改良については,踏切道改良促進法(昭36法195)及び第10次交通安全基本計画に基づき,踏切道の立体交差化,構造の改良,歩行者等立体横断施設の整備及び踏切保安設備の整備を推進している。

平成29年度は,踏切道改良促進法に基づき,改良すべき踏切道として,新たに237箇所を指定し,28年度指定した587箇所と合わせ,824箇所となった。指定した踏切道については,地方踏切改良協議会を順次開催し,道路管理者と鉄道事業者が,地域の実情に応じた踏切道対策の一層の推進を図った。

また,これまでに指定した踏切道と道路管理者,鉄道事業者等が自主的に行ったものを合わせて,平成28年度に改良が図られた踏切道数は,立体交差化25か所,構造の改良245か所,踏切保安設備の整備47か所に及んでいる。また,踏切道の統廃合についても,立体交差化等の事業と併せて実施した。

第1-32表 「平成24~28年度における踏切道整備実績」 (単位:箇所)
  種別 立体交差 構造改良 踏切保安設備
年度  
平成24 98 191 77
平成25 34 204 57
平成26 26 203 35
平成27 40 230 40
平成28 25 245 47

注 国土交通省資料による。

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