第1編 陸上交通 第2部 鉄道交通 第1章 鉄道交通事故の動向

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第1編 陸上交通

第2部 鉄道交通 第1章 鉄道交通事故の動向

第1章鉄道交通事故の動向

1 近年の運転事故の状況

鉄道交通における運転事故は,長期的には減少傾向にあり,平成9年に974件であったものが,19年には899件,29年には686件で,29年は前年比2.8%減であった(第1-44図)。

※運転事故
列車衝突事故,列車脱線事故,列車火災事故,踏切障害事故,道路障害事故,鉄道人身障害事故及び鉄道物損事故をいう。なお,軌道の運転事故は,鉄道運転事故と同様に定義する。

第1-44図 運転事故の件数と死傷者数の推移。平成17年を除き、減少傾向にある

事故種類別にみると, 踏切障害が235件(34.3%),人身障害381件(55.5%),道路障害46件(6.7%)であった(第1-29表)。

運転事故による死者数は287人で前年比5.9%減であり,乗客の死者数はゼロであった(第1-29表)。

第1-29表 事故種類別の運転事故の発生状況 (平成29年)
列車事 その他の事故 合計
列車衝突 列車脱線 列車火災 踏切障害 道路障害 人身障害
数(件) 2 14 0 16 235 46 381 8 670 686
0.3% 2.0% 0.0% 2.3% 34.3% 6.7% 55.5% 1.2% 97.7% 100.0%
死傷者(人) 0 10 0 10 151 14 386 551 561
(0) (1) (0) (1) (100) (0) (186) (286) (287)
注 1
( )内は,死亡者で死傷者の内数である。
2
踏切障害とは,踏切道において列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故のうち列車事故に至らなかったもの。
3
道路障害とは,踏切道以外の道路において,列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故のうち列車事故に至らなかったもの。
4
人身障害とは,列車又は車両の運転により人の死傷を生じた事故をいう(列車事故,踏切障害及び道路障害を除く)。
5
物損とは,列車又は車両の運転により500万円以上の物損を生じた事故をいう(列車事故,踏切障害,道路障害及び人身障害を除く)。
2 平成29年中の列車事故の状況

列車事故(運転事故のうち列車衝突事故,列車脱線事故及び列車火災事故をいう。)は,16件(運転事故件数の2.3%)であり,前年比1件増であった。

3 平成29年中の踏切事故の状況

踏切事故は,踏切保安設備の整備等により,長期的には減少傾向にある。平成29年は237件で前年比3.5%増であったが,踏切事故による死者数は101人で前年比1.9%減であった(第1-45図)。

※踏切事故
列車事故のうち,踏切道において,列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し,又は接触した事故及び踏切障害事故をいう。

第1-45図 踏切事故の件数と死傷者数の推移。平成17年を除き、減少傾向にある

衝撃物別にみると,自動車と衝突した事故が37.6%,歩行者と衝突した事故が44.7%であった(第1-46図)。

第1-46図 衝撃物別踏切事故発生件数(平成29年)。歩行者、自動車で8割以上を占めている

また,第1種踏切道での事故件数が87.3%を占めているが,踏切道100か所当たりでは第1種踏切道が第3,4種踏切道の合計件数より少なくなっている(第1-30表)。

第1-30表 踏切道種別の踏切事故発生件数 (平成29年)
踏切道 踏切道数 件数 構成率
(踏切道)
100か所当たり
の事故件数
  か所
第1種 29,800 207 89.4 0.69
第2種
第3種 737 4 2.2 0.54
第4種 2,795 26 8.4 0.93
33,332 237 100 0.71
(参考)
第3,4種 計
3,532 30 10.6 0.85
注 1
国土交通省資料による。
2
踏切道種別は,次による。
第1種  自動遮断機が設置されている踏切道又は踏切保安係が遮断機を操作している踏切道
第3種  遮断機はないが警報機が設置されている踏切道
第4種  踏切保安係もおらず,遮断機も警報機も設置されていない踏切道
第2種については,現在設置されているものはない。
3
踏切道数は,平成28年度末の数字である。
4
100か所当たり件数とは,踏切道100か所当たりの踏切事故件数である。
4 人身障害事故の発生状況

平成29年の人身障害事故は381件で前年比9.3%減,死者数は186人で前年比7.9%減,このうちホームから転落して又はホーム上で,列車と接触して死傷する事故(ホーム事故)は,29年は178件で前年比1件(0.6%)減であり,ホーム事故による死者数は30人で前年比6人(25%)増であった(第1-47図)。

第1-47図 ホーム事故の件数と死傷者数の推移。増加を続けた後、近年は減少傾向にあるが、29年は死者数が増加した

なお,ホーム事故は,酔客による事故件数が57.3%を占めている。

5 平成29年中の鉄道交通における重大事故の発生状況

平成29年11月3日にJR九州の肥薩線坂本駅~葉木駅間の第1種踏切道において,踏切内で立ち往生していたトラックと列車が衝突し,乗客11人及び乗務員2人が負傷した(第1-31表)。

第1-31表 重大事故一覧 (平成29年)
発生
月日
事業者名 線名・場所 事故種類 死傷
者数
脱線
両数
主原因及び概要
11/3 JR九州 肥薩線
坂本駅~葉木駅間
踏切障害事故 13人
(0人)
0 列車走行中,踏切内に立ち往生しているトラックを認めたため,非常停止手配を執るも,当該トラックと衝突した。
注 1
国土交通省資料による。
2
重大事故とは,死傷者が10名以上又は脱線両数が10両以上生じた事故をいう。
3
死傷者数の( )内は,死亡者数で内数を示す。
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