特集 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」
第1章 子供及び高齢運転者の交通事故の状況
第1節 少子高齢化の進展と交通事故

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特集 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」

第1章 子供及び高齢運転者の交通事故の状況

本章では,子供及び高齢運転者を取り巻く現状について,人口構成の変化及び交通事故の発生状況等を中心に記述する。

第1節 少子高齢化の進展と交通事故

〈少子高齢化の進展〉

我が国の総人口は,平成20年の1億2,808万人を境に減少に転じ,令和元年10月1日現在,1億2,617万人となった(総務省「人口推計」(確定値))。今後も,長期にわたって総人口は減少を続けると見込まれている。

令和元年10月1日現在の年少人口(15歳未満),生産年齢人口(15~64歳),高齢者人口(65歳以上)は,それぞれ1,521万人,7,507万人,3,589万人,総人口に占める割合は, それぞれ12.1 %,59.5%,28.4%となっている(特集-第1図)。

特集-第1図 年齢層別人口構成割合の推移。不詳、0~14歳、15~64歳、65~74歳、75歳以上。総人口は、平成22年を境に減少傾向にある。高齢化率は、年々増加している。年少人口(15歳未満)は、年々減少している
〈年齢層別に見た交通事故死者数の推移〉

交通事故死者数は,第2次交通戦争とも呼ばれる状況となった平成4年を境に減少し始め,8年に1万人を下回った。以降も減少傾向が継続し,21年に5千人を,28年に4千人を下回り,令和元年は3,215人と現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最少となった。

特集-第2図 年齢層別交通事故死者数の推移。15歳以下、16~24歳、25~64歳、65~74歳、75歳以上。いずれも減少傾向にある
特集-第3図 年齢層別交通事故死者数の推移(指数)。全年齢、15歳以下、16~24歳、25~64歳、65~74歳、75歳以上。65~74歳、75歳以上は、増加傾向にあったが減少傾向にある。その他の年齢層は、減少傾向にある

年齢層別に平成元年の交通事故死者数と比較すると,15歳以下の交通事故死者数は約12分の1(623人→52人),16~24歳の年齢層の交通事故死者数は約11分の1(3,156人→276人),25~64歳の年齢層の交通事故死者数は約4分の1(4,787人→1,105人)と大きく減少した一方で,65歳以上の高齢者の交通事故死者数については,約3割の減少(2,520人→1,782人)に,75歳以上の高齢者の交通事故死者数については,微減(1,280人→1,192人)にとどまるなど,大きな違いが見られる(特集-第2図,第3図)。

また,年齢層別に,人口割合と交通事故死者の割合の推移を見ると,全体として,65歳以上の交通事故死者数の全交通事故死者数に占める割合は,平成元年に22.7%であったが,平成22年に初めて50%を超え,令和元年には55.4%(平成元年から令和元年の間に32.7ポイント増加。)となり,同じ期間の人口割合の推移(平成元年(11.6%)から令和元年(28.4%)の間に16.8ポイント増加。)と比較しても,より大きくなっている。

一方で,15歳以下の交通事故死者数は,着実に減少してきた。全交通事故死者数に占める15歳以下の交通事故死者数の割合は,全人口に占める15歳以下人口の割合を大きく下回っている(令和元年は,それぞれ1.6%,12.9%)(特集-第4図)。

特集-第4図 年齢層別人口構成割合及び交通事故死者割合の推移。15歳以下、16~24歳、25~64歳、65~74歳、75歳以上。65~74歳、75歳以上の人口構成割合は、増加傾向にあるが、交通事故死者割合はさらに増加傾向にある
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