特集 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」
第1章 子供及び高齢運転者の交通事故の状況
第3節 高齢運転者の交通事故の状況

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特集 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策について」

第1章 子供及び高齢運転者の交通事故の状況

第3節 高齢運転者の交通事故の状況

1 高齢者人口(65歳以上)の推移――高齢化の進展
〈高齢者人口(65歳以上)の推移〉

我が国の高齢者人口(65歳以上人口)は,令和元年10月1日現在,3,589万人,総人口の28.4%に達し,「団塊の世代」が75歳以上となる令和7年には,65歳以上人口は3,677万人に達すると見込まれている。その後も65歳以上人口は増加傾向が続き,令和24年に3,935万人でピークを迎え,その後減少し,47年には3,381万人となると推計されており,総人口に占める割合は,38.4%となる(特集-第33図)。

総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続け,令和18年に33.3%で3人に1人となる。また,総人口に占める75歳以上人口の割合は,「団塊の世代」がこの年齢に達する令和7年に17.8%に達し,47年には25.5%,約3.9人に1人が75歳以上となると推計されている。

特集-第33図 高齢者人口及び割合の推移。60歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、高齢者人口の割合。年々増加している
〈運転免許保有者の高齢化〉

昭和50年には3,348万人だった運転免許保有者数は,平成20年に8,000万人を超え,令和元年には8,216万人となっている。

年齢層別に見ると,16歳から19歳までの運転免許保有者数は,昭和61年の264万人をピークに年々減少し,令和元年に87万人とピーク時のおよそ3分の1になる一方,70歳以上の運転免許保有者は,年々増加し続け,令和元年は1,195万人と,昭和50年の13万人の90倍弱,昭和61年の80万人の15倍弱となり,運転免許保有者の14.5%を占める(特集-第34図,第35図)。

75歳以上に着目して,運転免許保有者数の推移を見ると,令和元年の75歳以上及び80歳以上の免許保有者数は,平成21年と比較して,75歳以上は約1.8倍,80歳以上は約1.9倍となっており,75歳以上及び80歳以上の免許保有者数は,ともに増加を続けている(特集-第36図)。

特集-第34図 運転免許保有者数の推移。16歳~19歳、20歳~29歳、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳~69歳、70歳以上又は70歳~79歳、80歳以上。年々増加していたが近年は横ばい傾向にある
特集-第35図 運転免許保有者構成率の推移の推移。16歳~19歳、20歳~29歳、30歳~39歳、40歳~49歳、50歳~59歳、60歳~69歳、70歳以上又は70歳~79歳、80歳以上。高齢者の割合が増加している
特集-第36図 75歳以上・80歳以上の運転免許保有者数の推移。80歳以上の免許保有者数、75歳以上の免許保有者数。年々増加している
2 高齢運転者による交通事故発生状況

75歳以上及び80歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は,平成21年にはそれぞれ422件,180件であったものが,令和元年には401件,224件となっている。令和元年は前年と比較して,それぞれ59,28件減少した(特集-第37図)。

75歳以上及び80歳以上の高齢運転者について,免許人口10万人当たり死亡事故件数の推移を見ると,過去10年間減少傾向にある。令和元年は前年と比較していずれも1.3件減少した(特集-第38図)。

特集-第37図 75歳以上・80歳以上の高齢運転者による死亡事故件数の推移。80歳以上運転者、75歳以上運転者。横ばい傾向にある
特集-第38図 免許人口10万人当たり高齢運転者による死亡事故件数の推移。80歳以上運転者、75歳以上運転者、75歳未満の運転者。減少傾向にある
〈年齢層別〉

75歳以上の高齢運転者と75歳未満の運転者について,死亡事故を類型別に比較すると,75歳以上の高齢運転者による死亡事故は,75歳未満の運転者と比較して,車両単独による事故の割合が高くなっており,具体的には工作物衝突や路外逸脱の割合が高い(特集-第39図)。

75歳以上の高齢運転者と75歳未満の運転者について,死亡事故を人的要因別に比較すると,75歳以上の高齢運転者は,操作不適による事故が28%と最も多く,このうちハンドル操作不適が13.7%となっている。

ブレーキとアクセルによる踏み違い事故は,75歳未満が全体の0.5%に過ぎないのに対し,75歳以上の高齢運転者は7.0%と高い(特集-第40図)。

特集-第39図 死亡事故の類型比較(令和元年)。75歳以上高齢運転者、75歳未満の運転者。75歳以上高齢運転者は、車両単独の割合が高い
特集-第40図 死亡事故の人的要因比較(令和元年)。75歳以上高齢運転者、75歳未満の運転者。75歳以上高齢運転者は、操作不適の割合が高い
3 その他の分析
○通行目的別による交通事故の分析

65歳以上を中心に,年齢層別に,乗用車について第一当事者の通行目的別死亡事故件数割合を見ると,観光・娯楽,買物,訪問,送迎,通院といった目的での外出時の事故が大きな割合を占める一方で,職業運転,業務目的,出勤・退社等職業生活を送る中での事故も一定割合見られることがわかる。

同様に,貨物車について第一当事者の通行目的別死亡事故件数割合を見ると,職業運転,業務目的,出勤・退社等,職業生活を送る中での事故が一定割合見られ,乗用車よりもやや大きい(特集-第41図,第42図)。

特集-第41図 第一当事者の通行目的別死亡事故件数割合(平成27年~令和元年合計)[乗用車]。職業運転、業務目的、出勤、退社、観光・娯楽、買物、訪問、送迎、通院、その他。年齢が上がるにつれて職業運転、業務目的、出勤、退社の割合が減少している
特集-第42図 第一当事者の通行目的別死亡事故件数割合(平成27年~令和元年合計)[貨物車]。職業運転、業務目的、出勤、退社、観光・娯楽、買物、訪問、送迎、通院、その他。年齢が上がるにつれて職業運転、業務目的、出勤、退社の割合が減少している
○年齢層別・第一当事者自転車等による交通事故の分析

年齢層別に,自転車及び駆動補助機付自転車による死亡事故を件数割合で見ると,65歳以上の割合は,駆動補助機のない自転車については,平成22年から26年の合計では56.3%,平成27年から令和元年の合計では66.5%と増加傾向にあり,駆動補助機付自転車については平成22年から26年の合計では85.6%,平成27年から令和元年の合計では84.0%と8割以上と高い割合を占めている(特集-第43図,第44図)。

特集-第43図 自転車(第一当事者)の年齢層別死亡事故件数割合。65歳未満、65~69歳、70~74歳、75~79歳、80~84歳、85歳以上。65歳以上の割合が高く、駆動補助機付自転車の方が割合が高い
特集-第44図 自転車(第一当事者)の年齢層別重傷事故件数割合。65歳未満、65~69歳、70~74歳、75~79歳、80~84歳、85歳以上。65歳以上の割合が高く、駆動補助機付自転車の方が割合が高い
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